ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 真空パック ( No.3 )
日時: 2010/11/28 11:43
名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)

プロローグ


こんなふうに思うのは何故だろう。

貴方達はもういないのに、ずっと私は貴方達を探そうとしている。

ねぇ教えて。どうすれば貴方達を見つけることが出来るの—————————————————————?





                           &





あれ?

此処は何処だろう。

オレは————誰?

鳥のさえずりさえも五月蝿く聞こえる森の中。そこにオレは横になって倒れていた。
ゆっくりと身体を起こしてみる。心地よい風だが、妙にくすぐったい。

「……?」

不意に目に留まる四角い物体。透き通ってはいるが、決して中身が見えるというわけでは無かった。
それが、その物体が青年の興味を誘った。ゆらりと立ち上がってそのまま物体に近づいて行く。

「……!?」

それに手を触れた瞬間だった、中身が見えたのは。

「おん…な?」

中に寝転がってフワフワ浮いている女がいた。寝ているのか気絶しているのか知らないが、目を閉じている。

「誰、あいつ…?」
そんな心の中に浮かんだ疑問をただ1人で呟く青年。そんな青年のズボンの裾を、必死で引っ張る動物が1匹。

「ん。何」

しゃがんで動物を抱き上げる青年。
「あんた、何ていう名前」
「キュウ?」

勿論人語が解る動物などいやしないので、可愛く首を傾げる狐。そんな狐を青年は、物体に近付けてみた。

『プシュウ…』「……」

溶ける、溶ける、溶ける。
———人間は溶けないのに動物は溶けるのか。
そう思ったが特に考えることもせず、物体の前に腰を下ろす青年。そしてしばらく、そのまま物体の様子を見ていると、

「……!?」

なんとさっきの狐が物体の中で女と共に浮いているではないか。

「この…物体……?」