ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 真空パック〜9話目突入!!〜 ( No.302 )
- 日時: 2011/04/03 09:05
- 名前: 緑紫 (ID: rb3ZQ5pX)
- 参照: 自分はいつまでこんな長い物語を書いていくのだろう
——“大変なこと”て一体何だよ。
——恐い魔法使いでも出てくるのか。 そんなファンタジー世界だっけか、此処?
『まぁ、安心して』『もし何か出てきても、あたしが守るから』
この台詞を龍緋に言われたらなぁ、なんて叶わぬ願いを抱きながら、キルメリアは短く「あぁ」と返事して、サンダーミストの後に続いた。
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自分は一体何を考えていのだろう?
人間なんかをこの森に連れ込んで、何になる?
どうせ人間なんかに、妖精のことが解る訳が無い。
キルメリアを案内するにこにこ笑顔とは裏腹に、サンダーミストはそんなことを心の中でずっと呟いていた。
まだ昼でであるのに薄暗いその森は、何か只ならぬ恐ろしさを感じる。 これが“奴”の力なのだろうか。
「なぁ、サンデーミスト」『サンダーミスト、ね』『で、何?』
——サンデーミストって何だ、日曜日の霧かよ
「この森の先は、何があるんだ?」
彼女は木々に囲まれ青空、否、曇り空さえ見えぬ空を見上げ問うた。
『レゾメアンという国よ』『外見はただの賑やかな繁華街だけど、』『中身はすごく血生臭いらしいわね』
そんな彼女の発言に、キルメリアは眉間にしわを寄せる。 まるで、何だそれは、食えるのか? みたく。
まぁ多分彼女が反応したのは名前だけであって。
「この頃は、血生臭い街が多いな。 昔は平和だったのに」
哀しげな顔で呟き、先をずんずん進んで行くサンダーミストの後を追うキルメリア。
——あたしだって、戻れるもんなら昔のような平和に戻って欲しいわよ。
——でも…でも--------------
拳を強く握り締め、唇を噛む。 痛いのは解っている。 唇からは若干血が滲む。
——嗚呼、あたしはどうしてこんなにもひ弱だ。
——自分の力でなんとか出来ないで、何が…
「何が、神だ」「…喋った…!?」
もう嫌だ。自分がとてつもなく嫌だ。 神は皆を守る為にいるんでしょ? なのに何よあたしは。 皆を守るどころか、皆を危険な目に遭わせてるだけじゃない。 疫病神もいいとこね。
イライラが彼女の胸にどんどん詰まる。 堪え切れない。 自分が非力なのが、ひ弱なのが。 思い切り叫べば、この怒りは消え去るのか。 けれど自分が声を出せば、森は壊れる。
『あたしは……最低だ…』『ねぇキルメリア。 まだこんなあたしを森守神【しんもりがみ】と言ってくれる人はいるのかしらね…?』
吐き気、吐き気。頭痛と腹痛、目眩。 自分の怒りから現れた症状。 とんでもない疫病神だ、自分は。
「サンダーミスト!!起きろ、返事をしろってば!」
キルメリアが懸命にサンダーミストを起こそうとする。 しかし、彼女の身体は限界だった。 今までのストレスを抑え、溜め込んできた彼女は、精神的な病気、精神破壊されていると言っても過言ではないのじゃなかろうか。
『オイ人間。邪魔だ退け』
『俺がソイツ治すから』
後ろから、少女の声が聞こえた。