ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 真空パック〜ちょっと待っ…参照1000!? マジすか!!〜 ( No.315 )
- 日時: 2011/05/29 09:23
- 名前: 緑紫 (ID: rb3ZQ5pX)
- 参照: 駄文でごめんなさい。
10パックめ(最終話)◆全ての謎を◆
&
「人間っていう奴はひ弱でさぁ。
「お前だってわかってんだろ?
「なのにどうして人間の隣にいんだ?
「……無視すんなよ。
「は?
「ていうかお前わかってるのか?
「お前はさ……
「俺に創られた【玩具】だぜ…?
「消そうと思えば——
「いや、俺が表に出ようと思えば。
「お前の存在なんか一瞬で砂になるさ。
「だから、あんま俺を怒らせんなよ?
人形
「——須野江龍緋。」
&
なんとなく、気付いてはいたのかもしれない。
彼が、自分の親を消そうとした——
破壊神だということ。
全て彼の企(たくら)みだったのかもしれない。
破壊神様は何も起きないこの世界に飽きて。
人類全てを犠牲者にして。
笑って楽しんでいたのかもしれない。
「龍緋…」
自分の足元で悶え苦しむその名前を呼ぶ。
髪を撫でて、泣きそうになる自分を堪(こら)える。
心の中ではわかっていても。
好きだった——否、好きだ。
「龍緋」「違うな。」
と。
彼の名を呼んだ直後に、目を開きにやりと笑う。
「…え?」
彼が。
「違うって、どういうこと…?」
恐る恐る訊く。
「そのままだ。俺は龍緋、須野江龍緋の本体——」
「破壊神。」
空気が一瞬にして乱れた。
威圧感。
ただ彼は笑っているだけなのに、それ以上近付くと自分の血で染まることになるぞ、と言わんばかりの。
純粋に怖いと思った。間近で、隣で見る破壊神を。 “よっこらせ”とか言いながら、破壊神は起き上がる。それからズボンとかについた土をパンパンと出てはたき落とし、
「あー、えっと、破壊神です、宜しく。」
私を見降ろしながら、自己紹介をする。
「あ、えっと…」
「ふーん、お前が俺の【人形】の愛人? あーそうなんだ。なんだか壊すのが惜しいな。」
と、1人で悩みながらなにやら呟いている。
「おっとっと…もう覚醒しちゃったかー」
後ろから、突然聞き覚えのある声がした。
「…………お父さん」
私の、仮のお父さん、碑稲城稲富である。
「亜呂江ちゃんもリアルも依世ちゃんも下がってて」
眼鏡外しながら彼はそう命じた。
「え、何もうそんなシーンかよ。でも他の歩いてる奴らの収集ついてねえぞ。」
破壊神が銃を向けられながらも焦りもせずに辺りを見渡す。
「今更になってギャグパートに持ち込もうとしないでくれるかい? 君の願望は、“消されたい”だったっけ」
「そりゃまるでドMみたいじゃねえか。 んー、なんだろうな。消されたいってーか、俺を消せる奴がいるんなら消してみろやっていうか。」
「結局同じことだよ」『バンッ』
言うが早いか、彼は破壊神を打つ。が。
「っとっとっと…あぶねえなお前。俺が怪我したらどうすんだよ。」
後ろによろめきながら、楽しそうに言う。
「あーそうだ、忘れてたや。 【人形】の愛人。俺が殺されたら【人形】にも2度と会えねえってことになってんだけど、それは承知の上だよな?」
……初耳なんだけど。
「龍緋にもう会えないの…? なんで」
「なんで、って…。だってあいつの本体が俺なわけだから、本体が殺されたら機械的にあいつも消えるわけじゃんか。」
なに、それ。
「じゃあどうやったら龍緋と会えるの!? 龍緋を返してよ!!!」
「俺を殺さなけりゃいい話だよ。 そのかわり、突然発狂するかもしれねえけどな。」
ハハッと笑うその顔に、きっと悪意なんてない。
破壊神なんて名前だけで、実は彼は極悪人じゃないのじゃないだろうか。
「まぁ俺をせっかく見つけたのに殺そうとしねえ馬鹿はいないだろうけどな——」「ッ!?」
刃が。
ぎらりと光る刃が、破壊神を刺す。
「や…」
「あーマジかったりー。破壊神死ねよ」「いや、もう死にそうなんだけどな…?」
音もなく現れた3人の影に私は息を飲む。
「キルメリアさん…?」
いつの間に着替えたのか知らないが、(地味な)パンツスタイルになっていた。
「あー、お前ら森の妖精と…キルメリア?」「久し振りだな、龍緋よ」
笑ってない目。右手にはナイフを構えている。
「成程。みんなして俺を殺しに集合したわけかよ。ハメられたな俺も。」
ドサリとその場に倒れながら、私を見て言う。
「トドメは愛人、お前が刺せ。」
「トドメなんて刺せないよ。だって、龍にもう…会えない……なんッ…て…!」
不意に涙が零れた。
「そんなこと言われてもな。俺死ななきゃいけないってかもうほとんど死んでるし。」
「……………馬鹿」