ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 真空パック ( No.35 )
- 日時: 2010/12/26 17:41
- 名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
- 参照: 粗大ゴミですが何か?
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「おい由芽、本当にあいつらの居場所が解るっていうのか」
深夜0時。ミッション屋の件は警察任せにして、3人はとある真っ暗な廃墟に向かっていた。
夏の夜であるというのに、とても寒い町だ。
「亜呂江、寒くないか、その格好」
真っ白なワンピース1枚。髪の毛のおかげで首元は寒くないかもしれないが、腕やら足が寒いだろう。足だって、窮屈そうなサンダルだ。
「別に。龍は、包帯ぐるんぐるんで、面白いね」
「ん、あぁ」
リンの家で手当てをしてもらったのだろう、恐らく。
「まぁ、あのままお前が俺達と一緒に来てたらホラー映画のCMくらいは造れたろーな」
片方の目は前髪で隠していたが無いし、腕やら足は傷だらけだし。
「なぁ、何でお前、5年もずっとあんなとこに倒れてて、傷が癒えないんだ?」
「知らない。知りたくもないし」
そう言ってから龍緋は、
『バサッ』「うあ?」「着てろ、風邪引かれたら困る」
着ていたローブ(リンに貰った)を亜呂江に被せる。それから
「由芽、1つあんたに謝らなきゃいけないことがある。フィナーレを崩壊させてしまってごめん…なさい。きっとお前はまだ小さかったから…ショックで仕方無かっただろ」
「何だいきなりかしこまって。
まぁ、最初はぶっちゃけ何が起こったか解らなかった。隣町から帰ってきたら、あの国があったところに、ぽっかり穴が空いててな。何も———誰も、いなくて。
でもな、それのおかげで俺旅できた。で、今こうやってお前達と一緒に、かつては1人で回った国を、皆で一緒に回れて、役に立てることもできてさ。だから龍緋、お前には結構感謝してるんだぞ?」
そう言って由芽は龍緋にしゃがんでもらい、頭を撫でる。
「やっぱ、慣れない、こういう“愛情”っていうやつ」
「慣れろ慣れろ!こういうものは、慣れたほうが得だぞ☆いつかキスもしてやる」
「いや遠慮する」←即答
———てか、和みすぎた。
———早く由芽に案内を…
———え?
「おい由芽、亜呂江は?」
先程から喋っていない人物の名前。
周りを見ると、窮屈そうな亜呂江のあのサンダルが落ちていた。
方っぽ。
裏返しになって。
「え?さっきまで此処にいなかっ———
おい龍緋、何処へ行く!単独行動は危ない!戻ってこい!おい龍緋ッ!」
後ろから聞こえる由芽の声。
でも。
でも、今行かなきゃ。
今行かなきゃ、亜呂江が危ないかもしれない。
今行かなきゃ、もう亜呂江に会えないかもしれない。
「亜呂江!!なぁ亜呂江、何処だ!!?」