ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 真空パック〜参照数100突破!皆様有り難う御座います!〜 ( No.54 )
- 日時: 2010/12/25 17:43
- 名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
- 参照: 冬休みやっほい!!←
2パックめ◆光の中を探し求めて◆
「なぁ亜呂江、結局由芽のシタイは警察任せにするのか」
コムリッサ村の出口の一歩前。
心残りのある声で、龍緋が亜呂江に向かって言った。
「だって、どうせもう彼女の住んでいたところなんて無いから」
そう言って、コムリッサ村で買った新しい薄ピンク色の花柄ワンピースをひるがえし、短い髪の毛をくくりながらコムリッサ村を出る。
「龍、行かないの?まだ何か食べたい?それとも由芽さんが気になる?」
「質問は1つずつしろ」
いつもどおりに亜呂江の質問の多さにツッコんでから龍緋は金貨をポケットに入れながら、
「いや、別に何でも無い」
そう言いながら亜呂江に続いた。
&
「なぁ、亜呂江?此処何処だ」
「知らない」
先程までいたコムリッサ村から東に歩いて約2時間。
何故か2人はスラム街のような土地に立っていた。
「うーん、よくわからないけど皆貧しそう」
「そうだな。平気で人間喰ってるし」
そう、その街の者は皆、人を襲い、動物を襲い、喰っていた。
「臭い」
そう呟いてマスクを装着する亜呂江。
———何処で手に入れたそんなもん。
そう思いながらその街を歩いていると———
『おい君達』
そんな声が、見るからに怪しそうな研究室から聞こえてきた。
「……行ってみたい」
「変な奴の集団だったらどうするんだよ」
「大丈夫」
———何処からそんな自信が湧いてくる。
『ギィィィ』「お邪魔します」
礼儀は覚えていたようだった。
「うっわ、ガラスの破片とかあるし…。亜呂江、気を付け————」
———既にいない。
「おいバカ、何処行った!?」
ガラスを踏まないよう気を付けながら叫ぶ龍緋に、返事をするかのように
『こっちだよ』
「ッ、さっきの!!」
声が聞こえたと同時に、研究所の明かりが付く。
「———!!?」
龍緋の目に入ったものは、亜呂江に初めて出会ったときにも、亜呂江が閉じ込められていた物体。の色違いだった。
「ようこそ、須野江 龍緋君。今日は君に用事があって、此処に招いたんだ」
なんとまぁ都合の良過ぎる話だろうか。ただでさえ勘の鋭い龍緋が信じるわけが無い。
「誰、あんた」
冷めた声で白衣の男に訊く龍緋。
『んー……その物体から女の子救ってくれたら教えてあげてもいーよ』
白衣の男が指をさすのは、龍緋が1番最初に目に入ったあの物体であった。
「別に救う理由も無い」
「で、亜呂江は何処に隠した?」
『ふーむ、勘が良過ぎるね、龍緋君は。
勿論、こちらにあるよ。返して欲しければその子を助けてあげるんだね』
———結局、やらざるを得ない、か…。
「面倒だな…。じゃ、何か割るもの貸してよ。ナイフとか」
『おー、よく御存知で。
はい、どーぞ』
ぽい。
と、龍緋に向かってメスが投げられる。
危うく刺されそうだったところをなんとか避けて取る。
「あー本当に面倒なことしか無いな、今日は」