ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 真空パック〜コ メ を く れ !〜 ( No.69 )
- 日時: 2010/12/28 18:29
- 名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
- 参照: 今年も残りあとわずか……
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「は?許ず……け…?」
驚いたように少女を見る亜呂江。
『ああ。コイツの名前は龍緋だろ?』
そんな驚く亜呂江を無視するように碑稲城に訊く少女。
『うん、そーだよ』
ヘラヘラと眼鏡を直しながら笑顔で答える。
『“龍くん”、起きろよ』
「ッああぁあぁ!!やめ…っ」
碑稲城がそう答えると少女は龍緋の耳元で甘く囁く。龍緋の反応を面白がりながら。
『龍くん、どうした?私のこと思い出したか?』
「い、や……っだ…」
嫌がる龍緋の耳元に、尚もニヤニヤしながら言葉を放つ彼女。そのまま壁に龍緋のことを押し付け、顔がもうキス寸前のところまで近付けて、
『嫌がったって逆効果だぞ、私には。龍くんのその嫌がる顔が、声が、身体が全て愛しくて、もう手放したくなんて無いんだよ』
そう言いながら龍緋の顔を覗きこむ。
「やめ、ろ…て、言ってるだ、ろ…」
ハァハァと息を荒げながら顔を真っ赤にして目を逸らす龍緋。
「もうやめて!!どいてよ貴方!!さっきから龍に変なことばっかりしないで!!」
そんな状態の龍緋を見て耐え切れなくなったのだろうか、亜呂江が無理矢理少女を龍緋から引き剥がし、龍緋に抱き付く。
「は……亜、呂江…?何してる、苦し、い……よ」
亜呂江の頭をぽんぽんと軽く撫でながら苦しそうに言う龍緋。
『お前、私と龍くんの至福の時間を邪魔するな。龍くんは私の許婚なんだ、だから私が何をしても良い。実際、私は龍くんの秘密を沢山知ってるからな。龍くんが私に抵抗出来る筈も無いだろ』
そう言って龍緋の顎を捉え言う。
『今日のランデブーは逃がさないぞ、龍くん』
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「ったく、複雑な街ね、此処は!迷路か何かかってツッコミたくなるわよ!」
「まぁそうおこっても たのしくなんてないじょ、レーナ。すりるをまんきつするのが いちばんだ」
「お子様は黙ってて頂戴」
明日来街の色とりどりの煉瓦の家と家の間をローヴェヴァールの3人が駆け抜ける。
煉瓦やタイルで造られている街で、コケたら痛そうだ。
「レーナ、やはりこんな回りくどい場所を通らずに、普通の道を歩けばどうだ」
と渋く低い声で提案するフィックル。
「ダメよ、此処はこう見えてもスラム街。いつ変な奴らに襲われて喰われるか解らないっていうのに、そんなところ堂々と歩いてられないわ!
ホラ、アレ見なさいよ」
そう言ってレーナが指差す場所には、目が既に人間じゃない男が1人いた。
ナイフで少女らしき身体を切り刻んで、それをフォークで刺して食べていた。
目玉や心臓なども、普通にがつがつ喰っている。
「あー、気持ち悪いことこの上ないわね、あんなの」
「くうのはいけるかもしれないけど、たべられるのはいやだじょ」
そう言いながら自分の足元にあった鴉の残骸をひょい、と摘まみ上げて頭を削ぎ落とし、身体の部分だけを食べ始めるヴェアナ。
「ちょっと気持ち悪い、やめてよねー」
そう言って削ぎ落とされた鴉の頭部を人間じゃない男向かって放り投げ、
「さっさと行くわよ、道草なんて食ってないで」
そう言って姿を消した。