ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 真空パック〜参照200突破とかマジありえんしー←〜 ( No.84 )
- 日時: 2010/12/31 18:51
- 名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
- 参照: 別に雷恐いとか思ってないからね
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———これは……夢か?
———ふわふわしてて曖昧だ。
“空間”の中に1人立ち尽くす龍緋。
『お母さん!!
見て見て見て!!これねー、庭で拾ったんだぁ!ほら、綺麗な石でしょ!?』
そんな龍緋の目の前を、キラキラの笑顔で走ってゆく少年が1人。
———ッ!!?
———昔の、オレ?
唖然と言う感じで、ぽかんと口を開けながら少年の姿を目で追う龍緋。
『お母さん!ねぇ!』
『待って待って龍緋。今行くからそんなに急がないで』
そう言って綺麗なリビングルームからガチャリと大きな綺麗なドアを開け、ドレス姿の女性が出てくる。
『あら本当!凄く綺麗ね。飾っておきましょうか』
『本当!?やったぁ!!』
———あれが…昔のオレ?
———あの人がオレの母親?
「っ……何でオレはこんなに…こんなに情けない!?
こんなにも最低な人間なんだよ、記憶を自分の諸事情で忘れて!破り捨ててっ!!」
そんな龍緋の嘆きは、2人には聞こえない。
『龍緋、今日は久し振りにお父さんが帰ってくるのよ。だから豪華なお料理沢山用意しちゃった』
『本当!!!?じゃあ僕もお父さんにプレゼント沢山あげなくちゃ!!』
『ふふ、そうね。きっと喜んでくれるわ』
流石は城。広い広い広い。
高級そうなラグの上に置かれたテーブル。それには宝石が沢山埋められていたりもし、何より料理の数が
半端ではない。最早バイキング並である。
『ねぇお母さん、沢山って、用意しすぎじゃないコレ?』
『うん、それなんだけどね、他にもお客様がいらっしゃるの』
そう龍緋の母親が言ったと同時に、ベルが鳴る。
『はいはーい、今出ますー!』
パタパタと走って玄関へ向かう母親。
『うーん、誰が来るんだろう、楽しみだなぁ』
———昔のオレはこんなにも純粋で明るかったのか?
———それにしても変わってない。
———髪型も目も。
———いや、変わったところのほうが多いのか?
『龍緋お待たせ〜。
紹介するわね、この子が龍緋の許嫁、ルーク・キルメリアちゃんよ』
「っああああぁぁあああぁぁぁあああぁぁぁああぁぁぁああぁぁあああぁぁぁぁぁあああぁぁ!!!!!?」
その名前を聞いた瞬間、現在の龍緋が叫ぶ。
顔を見れない。
顔をみたら自分が狂って抑え切れない気がして。
声も聞きたくない。
彼女の声しか頭に入らなくなる気がして。
『初めまして龍緋よ。私がお前の許嫁だ。宜しく頼むぞ』
『うんっ、こちらこそ!』
しかし昔の龍緋は普通に彼女に寄って行き、握手をする。
「あっああああぁぁぁぁああ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ何で何で何で何で何で何で何で来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで来ないで嫌だ何も聞きたくない!!!!」
(勿論過去の彼らには現在の龍緋の姿は見えません)←私の言い忘れ
頭を抱えながら叫ぶ龍緋は過去を見ず、否、見れずに悶え苦しむ。
『キルメリ○ちゃんは何が好き?』
『んー、そうだな。食えるものなら何でもいけるぞ』
『ソレ逆に恐いよ〜』
「やめろもう……その名前を聞かせないで!!
その声を止めてくれ……」
弱弱しく、泣きそうになるのを堪えながら言う現実龍緋。
彼の足元には、血が沢山落ちる。
胸から、首から、腕から、足から。
どく
どく
どく
どく
。
留まること無く滴り落ちる。
「ひ、いや、だ……。ぅあ、ああぁぁぁああぁぁっっっ!!」
血など気にせずその場に蹲り倒れ、吐く。
「うっあ、あぁああぁぁあああぁぁぁああぁぁぁっ。い、くぅ……」
『なぁ龍緋よ、「龍くん」と呼んでもいいか?愛称があったほうがお前も嬉しいだろ』
『うん、ありがとうキルメ○○ちゃん!』
『礼なんて夫婦の仲に必要無いぞ』
『うん、でも僕が言いたいんだ、君に』
「っあ、く、ぅ……」
2人の会話が聞こえるたび、喘ぎ声を上げ身悶え苦しむ龍緋。
———わからない。
———あの女の記憶なんて無いのに、何でオレはこんなに……
「ぐ、かはっ……」