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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 真空パック ( No.9 )
- 日時: 2010/12/26 17:33
- 名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
青年はその物体から少し離れ、観察をしてみることにした。中身はまた見えなくなり、光のような色を帯びている。
「やぁ青年。こんなところで何をしているんだい」
「———ッ…!!」
背後。 声。 黒マント。
そんな格好をした人間が突如青年の前に姿を現した。
「おう、すまんすまん。そんなに警戒しないでくれ。こっちも少し悲しくなってきちまうだろ」
口調だけ聴けば男のようだが、顔を見る限り、そいつは女にしか見えなかった。
———幼女。
そういった感じである。
「あんた、誰」
機械のように喋る青年に向かって、その幼女は落ち着いた感じで言った。
「俺は儚伊 由芽。お前の旅のお供だ」
「じゃぁオレのこと知ってる?」
「名前だけなら聞いてきた。知りたいか?」
————幼女、はかない ゆめ。なんとも可哀想な名前であるが…由芽は青年が頷くのを確認してから、名前を呟く。
「お前の名は須野江 龍緋だ。
……あ、あと言い忘れとったが、その物体の中におる女も旅の仲間だ」
「……寝てるけど」
「安心しろ。俺が今起こすから」
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