ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 妖怪大戦争っ!(オリキャラ募集中です!)(参照100突破!) ( No.59 )
- 日時: 2010/11/30 20:04
- 名前: 鏖殺 ◆iOXuMLRneg (ID: BcdVt4VG)
3-1「雪上梓亜」
あれから数日間待っても、天界から攻撃を仕掛けてくる事はなかった。
しびれを切らしたメフィストフェレス様は、出陣の用意をなさって、自ら攻撃を仕掛けることにした。
「リリアーヌ様」
と声をかけていたのは、悪魔をまとめる頭の梓亜。
「何だ?」
と、少し機嫌悪そうに答えられる。最近は忙しかったから、苛々しているのだろう。
「バルバトスは、リリアーヌ様にご迷惑をおかけしていないでしょうか?」
と、左手を右胸に当て、頭を下げたまま聞く。
それは、リリアーヌに深い忠誠を誓っている事が見て取れる。
「ああ。それなりに役に立つ」
警護をしてもらう必要はないが、雑用に使える。
悪魔であるバルバトスは、リリアーヌの部屋の掃除、食事の支度、その他雑用係と化していた。
「それはご安心致しました」
と、顔を下げたまま。今までの流れで、顔を上げた事は一度もない。
「面を上げよ」
と、先ほどまで吹かしていた煙管の先で示す。
「はっ……」
上げられた顔は息を呑むほど美しいものだった。
美しい瞳に鼻筋が通った高い鼻。綺麗な形の唇。悪魔のものとは思えない美貌だ。
「今まで妾に尽くしてきた礼だ。何でもよい、褒美を取らせよう」
と、なんとも尊大な微笑で、そして何か企んでいるような微笑で言う。
「恐れ多くもそうさせていただきます。恐らく……。いえ、必ず」
と、そこで一息つく。閉じた瞳がゆっくりと開かれる。
「貴方様方は天界に勝利し、人間界を物にするはずです」
と、何の躊躇いもなく言われた、絶大な言葉。
「人間界を手中に収めた暁には、人間を皆殺しにしていただきとう御座います」
と、深々と頭を下げて願う。穏やかな表情で放たれた残忍な言葉に、リリアーヌは満足そうに頷く。
「よいぞ。貴様は極度の人間嫌いだったな……」
クククッ、と嘲笑うように喉の奥で笑う。
そう、私は決して貴方に何も敵いはしない。笑えばいい。
貴方から見れば蟻のような存在の私を。