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3-4「雪上梓亜の願い」

勝った。長い戦いの末、魔界が勝った。美しい天界は血塗れで血生臭く、沢山の死体が転がっている。

私の願い。私の願いはどうなるのだろう。正直、今までのどんな戦いよりも頑張った。
あの方は大変気まぐれなお方。もしかしたら前言撤回もあり得る。そんなことはさせませんが───。

そして、全速力で空を飛ぶ。あの方の元へ飛ぶ。あの方の気が変わらないうちに、あの方へ願いを告げる。
あの方はどんな顔で待っているのだろうか。褒めて下さるのだろうか。願いを叶えて下さるのだろうか。

「リリアーヌ様、失礼いたします。梓亜です」
とノックして部屋の主の返事を待つ。暫くしてから「入れ」と素っ気ない返事が聞こえる。

リリアーヌ様の目の前に片膝をついて跪く。全てはこの日の為───。
この日の為にリリアーヌ様のお目にかかり、リリアーヌ様に尽くしてきた。
「お約束を、覚えてくれておいででしょうか?」
「あぁ、勿論───。“勝利した暁には、人間を皆殺しにする”で間違いないな?」
フッ、と軽く笑ってから煙管を吹く。独特の匂いが部屋に立ち込めるが、今はそんなことどうでもいい。

「はい。そうです。どうかリリアーヌ様───」

もし、ここで断られたら私は何のために生きてきたのだろう。
もし、約束を破るようであれば、喩え貴方であっても───。

殺　し　て　差　し　上　げ　ま　す　よ