ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 妖怪大戦争っ!(参照200突破!) ( No.80 )
日時: 2010/12/02 21:51
名前: 鏖殺 ◆iOXuMLRneg (ID: BcdVt4VG)

3-6「雪上梓亜の過ち」

物音を立てずにリリアーヌ様とメフィストフェレス様の寝室に忍び込む。
気配を消すのは、悪魔の頭である私にとっては朝飯前。

すぐそこに、黄金の天蓋がつけられた黄金のベッドがある。
そのベッドに上には、普段からは想像できないほど穏やかな寝顔のリリアーヌ様とメフィストフェレス様。

先ほどまで起きていたのか、まだ消えない煙管の独特の匂い。

この短剣を振り下ろせば、私の復讐劇は終わる。私は胸のつかえなく生きてゆく事が出来る───。

苦しむこと無く殺してあげようと、心臓を狙う。一撃で殺す事など簡単だ。
そして、勢いよく短剣を振り下ろした瞬間───。

「人の妻の命狙うのは誰だ?」
と、いつもより低くドスの聞いた恐ろしい声が聞こえる。しまった───。そう思った時にはもう遅い。

「はっ、リリアーヌの言う通りかよ。最初はふざけてると思った。“梓亜が妾を殺しに来る”なんてな」
と、煙管を吹かす。それはリリアーヌ様がご愛用しているものだったが、今はそんなこと如何でもいい。

「誰よりも忠誠を誓っていた梓亜がまさかな───」
と、蔑むような微笑。リリアーヌ様より迫力があり、背筋が凍りついて動けない。

「フフッ、ハハハハハッ───」

そう、結局私はリリアーヌ様に勝てはしない。何も勝てはしない。
私の謀反を予想する───。つまり、未来を察知する。異種族の誰もが望む境地である。
未来を読む力は、メフィストフェレス様すらお持ちでいない。

そう、全ては貴方の為───。やはり私は貴方の下僕どまりですよ。