ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 薄色の空と桜吹雪 ( No.2 )
- 日時: 2010/11/28 21:56
- 名前: 梓桜 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
過去に、世界には妖怪と呼ばれる者が存在していた。
妖怪は人と同じく善い者も居れば悪き者も存在していた。そして人々と共存していた。
人々と共に妖怪は栄え、繁栄してゆく。しかしそれはそう長くは続かない。
時代が進むにつれ科学が普及されるにつれ人々は妖怪を禍々しいものだと信じ込むようになった。
そして人々は霊力と言う力が自分らの内に眠っている事を知り、それを利用し始める。
妖怪を滅ぼし、消し、人々の世界から追放し始めたのだ。
しかしそれさえも最初の内だった。やがて時代が進むにつれ人々は霊力を失っていった。
それに比例して、妖怪を見えるものは段々と減っていった。
しかし、妖怪だって黙ってはいなかった。悪き妖怪は人などどうでも良かったが善い妖怪は違う。
人が存在してこそ自分達が存在しているのだと考えていたのだ。
そして妖怪の中でも人型の者は特に知能が強く、人々に見える力と技術を携え始める。
やがて、存在するようになった妖怪は共通として欧米人とは違った独特の蒼い瞳を持つようになった。
そして遂に人に見えるようになった妖怪達は、人々の
前に姿を現し自分が妖怪だと告げる。
しかし、人々の反応は想像を絶する物だった。
過去に共に共存していた事など忘れた。そう言わんばかりに妖怪達を攻撃し始めたのだ。
やがて裏切られた妖怪達は一匹、また一匹と徐々に命を失い屍と化してゆく。
しかし、それで、この世の中に妖怪は実在している。人々から裏切られた妖怪が生きている。
その妖怪はとても優しく、人々を傷つけることなど到底出来なかった。
その妖怪は人間に裏切られても決して人間を傷つける事は無かった。
例え一人になっても、決して人を傷つけなかったのだ。
そして今、この一分一秒のその時でもその妖怪は一人彷徨い続けている。
——————そう、生きている限りは永遠に。