ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 鈍色の空と桜吹雪 オリキャラ募集してます♪ ( No.7 )
日時: 2010/12/01 07:11
名前: 梓桜 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)

01 望むあの街

時は四月。日本国の国花でもある桜が綺麗に咲き誇り、所々で桜吹雪を見せていた。
観光で賑わっている人々と入学・卒業シーズンで賑わっている人々で街は沢山の人で溢れている。

そんな賑やかで人の溢れる街である一人の青年が桜吹雪を見ながら静かに歩いていた。
何処か周囲に溶け込んでいる感じのナチュラルな雰囲気が漂う青年は、青紫色の自分の瞳を輝かす。

その瞳は何かを見つめているかのように何処か虚ろで何処か謎めいていた。
風で桜がさらに舞い、青年の青みのかかった黒髪をふわりと揺らす。

彼の名前は葵。苗字は過去に捨てたと言う。そして現代の者はきっと誰も知らないであろう。
何故か? それは彼が……妖怪であるから。


「もう桜が咲いてるんだね……」


そう言いながら葵は微笑む。そして自分の手を伸ばし、桜の花弁を見てからまた空へと飛ばした。
まるで誰かに語っているかのような口調だったが枯れの横には誰一人人は居ない。

桜。木の下にしたいが眠っていると言われる綺麗ながらも恐れる者も居る日本国の国花。
彼は桜が好きなのか、桜吹雪を見ながら嬉しそうに微笑んでいた。


「君は好きだったよね、桜」


そう言って人が居るかのように横を振り向いて葵は哀しげに微笑む。しかし、彼の横には人は居ない。
葵はそれを知っていながらも期待を裏切られた風な苦笑を見せると持っていた花弁を道に落とした。

それからまた静かに歩き出し、賑やかな街へと消えてゆく……はずだった。
道を暫く歩くと、彼は彼にとってとんでもない光景をまのあたりにする。

踏み切りの前に手を繋いだ仲良しそうな親子が居た。いや、それはとんでもない光景ではない。
とんでもない光景はその親子の後ろに居る——————妖怪。

鬼のような形相をした二メートル程有りそうな大きな巨体を揺らして親子を殴ろうとしている。
何故かは分からない。ただ分かる事はこの妖怪が親子を殺そうとしている事だけだった。



——————危ない。


瞬時にそう察した葵は急いで踏み切り前へと走り、いつ所持していたのか分からない日本刀を取り出す。
そして目の色を青紫から紫色に変色させて交差点の近くへ来ると、何故か親子は葵の存在に気が着いて居ない。しかし鬼は違った。

葵を見るなり親子から離れ、絵本で見るような自分の身長のように大きい金棒を取り出し葵と対峙する。
葵は無表情でただただ日本刀を構え、これまた鬼と対峙していた。





「……殺生でしか生き延びれない、愚かな妖怪よ……」


そう言ったとともに、また風が揺れる。桜が再度舞ったが、葵は気にしていなかった。
緊迫した空気が葵と鬼との間のみで走る。