ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: GINNIA ( No.11 )
- 日時: 2010/11/29 22:26
- 名前: 瑠依 ◆D2HMpdaTN6 (ID: JhSKFTjv)
壱—§5
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美咲は走り続けていた。ホワロスという青年に言われたとおりに、学校と家を避けて、あの白い女と男から逃げていた。体力にも限界が着始めたので、電信柱の影に隠れながら休むことにした。
「はぁ……、何で、私追いかけられてるの……?そもそも心当たりないし……。あの『ホワロス』って人も、大丈夫かなぁ。」
「……取り敢えず、あの馬鹿の事は知らんが、追われている理由はあいつ等を撒いたら話す。」
独り言のつもりで言った台詞にまさかの返答があった。声の主の方を見ると視線の先にはさっきのホワロスを全く同じ格好をした真っ黒な青年が電信柱にもたれ掛っていた。
「あっ……あの、あなたは……?」
「……取り敢えず敵ではない。後、奴らが近づいてきている。絶対に喋るな、動くな。」
「は……ハィ……。」
そう言われて見ると、バタバタと走る音と男たちの声が聞こえる。
男たちの声は美咲を探しているっと言うよりも、何かに怯えている悲鳴のような声をしている。……何かに追われているようだ。
「な、何なんだアイツ!!撃っても撃っても死なねぇ!」
「バケモノかよ。」
「くっ、一回体制を立て直す!一時撤退だ。」
そう男たちは言い捨てて走り去って行った。一体彼らは何なんだろう……?
何に追われていたというのだろう……?
「あ〜ぁ、みんな酷いなぁ……。自分たちがコレだけ僕に撃って来たのに『バケモノ』扱いすることないじゃないかぁ……。ね〜クロワス?」
何処か最近聞いたことのある声が耳に入ってきた。しかもその声の主は今一緒に居る黒い青年と話をしているようだ。
「……お前の『ギニア』特殊だ。『バケモノ』呼ばわりされても仕方が無いだろ。」
「え〜……そんなこと言ったって、僕のコレはあいつ等の所為ですよ〜。怖がるなんて失礼ですよ〜?」
「……あいつ等はどうした?」
「えっとですね、白の女の人には逃げられちゃいました。他の下っ端はアトリエさんに任せておいたから、すぐに片付くと思いますよ〜。」
「……じゃぁ、後はこの女だけか……」
「!?」
美咲はクロワスと呼ばれた黒い青年に睨まれ硬直してしまった。
「逃げられない。逃げたらきっと……ヤバイ」そんな恐怖に体を縛られてしまった。
「あっクロワスも美咲ちゃんに会ったんですね〜。美咲ちゃん。さっきぶりですぅ。」
ヒョコっと電信柱の影から声の主が顔を覗かせた。
「あっ、アナタっ!!さっきの!?」
「うん、覚えててくれたんですね。嬉しいな。」
声の主はニコニコしながら美咲との再会を喜んだ。
顔面・全身殆ど真っ赤に染まってはいるがどうやらさっきの白い青年『ホワロス』のようだ。
「で、でも確か……アナタ、銃弾で……」
「あぁ〜……僕ちょっと体が丈夫ですから。」
「しゃべってないでさっさと行くぞ。」
和やかに話をしていると後ろからクロワスという青年がホワロスの体に空いた『穴』に銃をグリグリ押し当てている。
「わかったよ、痛いよ、クロワス。……じゃぁ美咲ちゃん?」
「は、はい?」
「おやすみなさい。」
”バァン!”
ホワロスは笑顔のまま美咲を銃で撃った。
美咲の視界が暗くなっていくのを感じていた。
深い、深い、闇の中へ引きずり込まれていく……。
壱—終
