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Re: Gothic doll【さぁ、殺し合いなさい】 ( No.19 )
日時: 2010/12/02 22:28
名前: 鏖殺 ◆iOXuMLRneg (ID: BcdVt4VG)

Ⅰ-Ⅴ「殺人doll」

私たちの目の前には大きな水晶。その水晶の中には、良太の両親。
今にも言い争いになりそうな、険悪な雰囲気。

「良太の成績が落ちたのはお前の教育がなってないからだろ!!?」
と、40代半ば程度の男が叫ぶ。激怒して、机をたたき壊すほどの勢いで叩いている。
「何よ!! あの子が勉強する気がないのよ!! あたしの所為じゃないわよ!!」
と、40代前半程度の女も負けじと叫ぶ。

その光景を見て、良太は頭を抱え込んで蹲って座る。震える体は泣いていることを物語っていた。
耳を塞いで、頭を膝に押し付けて。小さな肩を震わせている。

止めて───。もう止めてよ───。

「助けてあげるわ」

そして、両手で水晶を支える。その姿をただ呆然と見る良太。
薔薇が何かブツブツ呟いている。何を言っているか僕には理解できない。
でも、何か凄い力を持ってそうな言葉。そして、薔薇の身体が赤く輝いた。

「さぁ、見ていなさい───」

次の瞬間、水晶に赤い亀裂が入って、喧嘩しているお父さんの首元を傷つける。
すると、お父さんの首が千切れた。血が吹き出て、ゴトッと音を立てて、床に転がる。

それを見たお母さんは、瞳を見開いて驚いて、怯えていた。
そして、逃げようと必死に四つん這いで床を這う。
動揺していてなかなか進めないのか、奇声を発して床を這い続けている。

そのお母さんの背中にも赤い亀裂が生まれて、次の瞬間に巨大な剣がお母さんの背中を貫く。
お母さんは口から大量の血を吐いて、力なく床に横たわった。