ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: デットマン・プリズン ( No.2 )
日時: 2010/12/13 18:36
名前: 桜音ルリ ◆sakura.bdc (ID: NdyAxZc6)

Scene1【魔術と科学とそして悪魔】
この世界には魔術がある。
だが、それは天然のものではなくて人間が作り上げた罪の魔術だ。
神の作った自然をいいように曲げるこの『魔術』、神はこれを欲深き人間に使わせることをしなかった。
だが、欲深き人間は自分達の持つ『科学』という神に対抗する魔法で、『魔術』を作り出してしまった。
神は怒った。
それもそのはず、神が触れさせなかった神聖な領域に汚らわしい手で人間が触れたのだから。
そして、神は人間を懲らしめるため、人間の、とある一族にちょっとした仕掛けをした。

「ふぅ……もう疲れたわ。此処からの続きは明日にしていいかしら?」

彼女は今までずっとしゃべっていて疲れたのか、そこで言葉を切るとそう切り出した。

「えぇ〜? やだよ〜、おかあさん。かみさまとあくまとにんげんのおはなし、もっとして〜。」

「して〜?」

綺麗な金色の髪をした少年がすねたように頬を膨らませ、唇を尖らせながら言ったせりふを、おなじく金色の髪をした幼い少女が、青い瞳をくりくりと動かしながら中途半端にまねした。
彼女はそれを見てくすりと笑うと、二人を思いっきり抱きしめ、二人の頭を優しく撫でた。

「明日絶対に読んであげるから、ね?」

抱きしめて撫でてもらったことで二人は満足したのか、うん! と、二人そろって元気良く返事を返した。
彼女はそのようすを見て、二人に優しく微笑むと、おやすみ、といって電気を消し、部屋を出て行った。
二人は、彼女が去った後にも、明日話してもらえる御伽噺(おとぎばなし)の続きをああでもないこうでもないと考え、興奮してしゃべっていた。






———その御伽噺の続きを彼女の口から聞くことが、二度とこないとも知らずに。