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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: デットマン・プリズン〜オリキャラ募集〜 ( No.22 )
- 日時: 2011/01/04 13:01
- 名前: 桜音ルリ ◆sakura.bdc (ID: j4zkgG9C)
- 参照: http://koebu.com/koe/4bf857e348c11ebf154deec08be2b733099d9788
道中は顔に当たる風がアレでまともに息をすることが出来なかった。
つまり、話すどころではなかった。
だから僕はずっと目を閉じていた。
ふっと周りを抜けていく風が和らぐ、僕が目を開けてひょこっと顔をのぞかせると、のどかな風景が広がっていた。
僕は都会育ちなのでこんな風に山や川や草原ばかりの村というのを見たことがなかった。
一度写真で見たときに、グレイシアと一緒に此処に住みたいといってお母さんを困らせたっけ。
……ん?
グレイシア……
「あぁぁああああ!!」
いきなり叫び声をあげた僕にレイカさんは肩を跳ねさせると鬱陶しげにこちらを向いた。
「なんだ、いきなりどうした、ブライグ。」
「グレイシアが、グレイシアがッ……!!」
かなり慌てた様子で言う僕を見て、レイカさんはにやりと笑った。
「大丈夫だ。すぐにあえる。」
自信たっぷりのレイカさんの笑みを見て、僕は安心した。
確信は無いけど、レイカさんについていけばグレイシアに会えるような気がした。
うつむいてまた風をよけるためレイカさんの背中に顔をうずめると、いきなりバイクが止まる。
驚いてレイカさんを見ると、レイカさんは横をあごでしゃくった。
「ここがお前がこれから住む村だ。」
「Asilasia……アシラシア?」
「アシラシアだ。村の名前の響きに特に意味は無い。」
村のイメージにあったのんびりとした名前だ。
僕はそう思って少し可笑しくなった。
「さて。まだ私の家には遠いからな、スピードを出すぞ。」
レイカさんの声に慌てて顔を引き締めると、僕はまた風除けにレイカさんの背中に顔をうずめた。
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