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Re: デットマン・プリズン〜オリキャラ募集〜 ( No.33 )
日時: 2011/01/29 11:17
名前: 桜音ルリ ◆sakura.bdc (ID: NStpvJ0B)
参照: http://loda.jp/kakiko/?id

「……この世界には魔法がある。
だが、それは天然のものではなくて人間が作り上げた罪の魔法だ。
神の作った自然をいいように曲げるこの『魔法』、神はこれを欲深き人間に使わせることをしなかった。
だが、欲深き人間は自分達の持つ『科学』という神に対抗する魔法で、『魔法』を作り出してしまった。
神は怒った。
それもそのはず、神が触れさせなかった神聖な領域に汚らわしい手で人間が触れたのだから。
そして、神は人間を懲らしめるため、人間の、とある一族にちょっとした仕掛けをした……」

「ちょ、ちょっと待って! それって……ただの御伽噺じゃ……」

「五月蠅い! 黙って聞け!」

レイカさんは僕に話を遮られたことを不快に思ったのか眉根に皺を寄せながら一喝した。
おとなしく頷いて、僕は口を閉じる。

「その一族とは……『ディートリッヒ一族』。その一族は古くから存在し、魔術を扱える一族だった。だが、魔術を使える代償に、あるものを差し出さなければならなかった。」

レイカさんがそこで一旦言葉を区切り、何かわかるか? と問いかけるような視線を投げかけられる。
僕が首を横に振ると、レイカさんはまた話に戻った。

「その代償とは…………一族のうちの、誰かの命……つまり、生贄だ。」

その言葉を聞いたとき、僕の中であの光景が浮かんだ。

——瓦礫の山の上に横たわるグレイシア。

———隣でニタニタと笑うナイトメア・カース。

————代償は一族のうちの誰かの命。つまり、生贄。


「ッ、まさか!」

レイカさんはゆっくりとうなずいた。

「グレイシアは、その生贄だったんだ。」

なんで、なんでグレイシアが。
どうして……!?

混乱する僕を他所にレイカさんは話を進める。

「ナイトメアが指示した生贄以外のモノを差し出すことは許されない。だが、タバサはそれを破り、禁忌を犯したのだ。」

そこで一息をついて、レイカさんはため息をつく。
暗く、重いため息を。

「グレイシアの代わりに、自分が生贄になる。」

悪魔の手は、お母さんが禁忌を犯したから連れて行ったのだろうか?
いや、それじゃあ辻褄が合わない。

「悪魔の手は、禁忌を犯したタバサと犯されてしまったナイトメアを連れて行くためのものだ。」

「……どこ、に?」

僕が震える声で紡ぎだしたか細い言葉を拾って、レイカさんは口を開く。

「デットマン・プリズンに。」