ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: デットマン・プリズン ( No.4 )
日時: 2010/12/05 02:15
名前: るりぃ ◆wh4261y8c6 (ID: 8HxnnnhG)

———…………グ

「なぁに? ぼくねむいんだ。」

——……ライグ

「ねむいんだってば……」

ブライグ!!

「うわぁっ!!」

そう叫びながら、ブライグは慌てて跳ね起きた。
まだぼんやりとしている視界をはっきりさせるため、ブライグはこしこしと目をこする。
そして、視界がはっきりして周囲を見渡した時、ブライグは言葉を失った。
ブライグの周囲には赤い塗料をかぶったかのように鮮やかな赤色の地面と、同じく赤に染まった色々な服があった。
ブライグは暫く恐怖で震えていたが、グレイシアがいないことに気がつき、自分の傍にいないかもう一度周囲を見回した。
そして、瓦礫の山の上に横たわるグレイシアを見つけ、ブライグは顔を輝かせて歩みよろうとする、が。
ブライグはグレイシアの傍にいるものを見つけて動きを止め、悲鳴を上げた。

そのものの容姿があまりにも異端で、異質で、恐ろしかったから。

体中に血管を浮かび上がらせ、そこから血を流している。
足はない。肉ひだが垂れ下がり、宙を漂っている。
瞳孔は縦に見開かれ、白目の部分が赤く染まっている。
鼻と耳は皮膚の下に埋もれていて、僅かに見える程度だ。
服はきちんと纏っていたが、それもごてごてと色々な装飾がつき、とても悪趣味なものだった。

ブライグは恐怖で足がすくみ、動けなくなったが、そのものの前に横たわるグレイシアをみて、勇気を奮い起こした。

「お、まえは、だれ、だ。」

ガチガチと歯を鳴らし、つっかえながらブライグが言った台詞に、そのものはにやりと笑った。

「おお、呪われた『ディートリッヒ一族』のブライグ・ディートリッヒだな。ぅん? 私の名前は『ナイトメア・カース』だ。」

そういってわざとらしい慈愛に溢れた笑みをブライグに向けるナイトメアをみて、ブライグは直感的に悟った。

—こいつには、かかわってはいけない—

と。
ブライグはグレイシアの服の裾を掴むと、じりじりとナイトメアから距離をとる。
と、同時にナイトメアの背後から白衣を着てナイフを持った男がナイトメアにナイフを突き刺さんと襲い掛かる。
が、彼がナイトメアにナイフを突き刺す事は未遂に終わった。

そのまえに彼が弾けとんだからだ。
ブライグは目の前で起きた事を受け入れられず。
ただ、ただ、叫んだ。