ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: デットマン・プリズン ( No.6 )
- 日時: 2010/12/13 18:54
- 名前: 桜音ルリ ◆sakura.bdc (ID: NdyAxZc6)
Scene2【精神と崩壊とそして出会い】
じかん が わからない。
なにも かもが ねじれ、おもいで が ぐちゃぐちゃ に なる。
いま ぼくが たっている ところ と わるい ゆめ の なか を いったり きたり。
ここ に いた と おもえ ば また あそこ に いる。
くるった ひと と わるい ゆめ の せかい に ひきもどされる……
今は頭がはっきりしている。
とってもあたたかい部屋。
おまわりさんが何人かいる。
ぼくのからだにもうふがまきつけられている。
やさしそうなおまわりさんが、ココアをくれた。
ココアをうけとった。
おまわりさんがなにかをたずねてくる。
でも、ことばはぼくのからだにも、あたまにも引っかからずにぬけていく。
ココアを見つめるうちにまたわるいゆめのせかいに行ってしまいそうだったから、おまわりさんのくちをじぃっとみた。
ながいこと、なにもきこえなかった。
しばらくするとおまわりさんのこえがちいさくきこえはじめた。
テレビのボリュームをあげるようなかんじだ。
でも、なにをいっているのかはわからない。
あたまのなかでふわんふわんひびいてしまう。
それでも、なんとなくわかった。
あのわるいゆめのはなしをきいているのだろう。
「おばけだ……」
ぼくはぼそりとつぶやいた。
しゃべるのがひさしぶりなきがした。
とたんにおまわりさんがめをきらきらさせた。
つぎつぎとはなしかけてくる。
大きなこえ。
せっぱつまったこえ。
ことばの大雨の中にあることばがきこえた。
「犯人をみたのかい?」
「はい。おばけです。」
こえがかすれる。
おまわりさんがむっとした。
べつのことをきいてくる、
でも、ぼくはもう、なんにもきこえなくなってしまった。
ぼくのすわっているばしょがもえだす……
ぼくのまわりでわるいゆめが丸くなって、わをつくり、ぼくをとじこめて、たべ、すべてからきりはなす。
そしてわるいゆめの中にぼくだけがとりのこされた————。