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Re: 悪が正義で正義が悪で  ( No.14 )
日時: 2010/12/07 20:10
名前: ZERO ◆7dc6rjLZUg (ID: A9EK.QpX)





二人は誰もいない工場跡地へと向かった。
ここは不良達の溜まり場らしい。運よく今日は誰もいない。
僕、貞治も不良の部下に無理矢理連れて越されました。

「じゃあ、始めようかー?新入りよぉ」
「一言余計だ」


二人はお互い睨みを利かせている。思った以上の迫力だ。
僕は背筋がつい震えてしまう。それ程怖いという事でもある。


「行くぜ、オラァッ!!!」

僕とあの不良から20mも離れているのにすごい風圧だ。
やはりあの人、口だけじゃなくて実力もある。
さすがは不良の大将やっているだけあるなぁ。





「あんた、そんなんで俺を仕留められると思ってんのか?」
「てめぇ、生意気な面しやがって…。打ち殺す!!」

賊徒君、挑発なんてしたら殺されちゃうよ!!
僕は心で何度も叫ぶ。しかし心で叫んだってどうしようもない。
ついに僕は賊徒君を助けたい一心で叫んだ。




「賊徒君!!もういいよ、これ以上やったら本当に殺されちゃうよ!」

僕は今の思いを全てをぶつけた。賊徒君はすぐこう答えた。





「馬鹿野郎!!友達っていうのは一緒にいなきゃ意味ないんだよっ!
俺の…俺の友達が傷つくのが嫌なんだよっ!!!
……ちっと待ってろ、俺が絶対助けてやる」





賊徒君…!僕は目が涙ぐんでいた。あの一言が心に響いたのだから。

「…さっきからちまちまと友情ごっこしてんじゃねぇぞぉぉ!!」
「邪魔だ、俺の友達が待ってるんだ。あんま待たせるのも迷惑だしな」



賊徒君が不良の顔に固めた拳で殴る。不良はそのまま倒れてしまった。



「ひっ…!逃げろぉぉぉ!!」

不良達は泣きながら工場の外へ出て行った。

「待たせたな、貞治。じゃあ帰ろうぜ」
「うんっ!!!!」

二人は仲良くしゃべりながら家に帰っていった。

「あいつ、見所あるな…」

工場の片隅で一人の男はその光景を見ていた。