ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 第一話 ( No.4 )
- 日時: 2011/01/15 11:29
- 名前: 雷燕 ◆bizc.dLEtA (ID: l2k0mPFo)
二人で話していると、石の塊の向こうから声がした。
「おーい、こっち来てみろよ! 何か書いてあるぜ!」
オレ達は走って彼の元へ向かった。
シュウはオレ達がいた場所とは反対の位置にいて、そこは建造物の日陰になっていた。こちらを見たシュウが指差した先には、確かに何かが書いてある。ただかなり上の方に書かれているため、ここからでは読めない。
「シュウ、登って読んで来いよ」
オレは当たり前のように言った。当然、驚いたのはシュウである。
「おれ?」
「お前。さっさと行って来い」
有無を言わせぬオレの言葉に、シュウは横の石の塊を渋々と登り始めた。小柄なだけあって、石の突起を使って身軽に登って行く。そういえば、突起が多く登りやすい形をしている。シュウは三人の中で木登りなどは一番得意だ。それを知っていなければあんなこと言えたものか。
シュウがだいぶ高いところまで行くと、下を向いてオレとレオンに言った。
「読むぞー! 『ここにたどり着いた勇気ある者へ。最高の宝を手に入れたければ、決して開かぬ扉を開けよ。入り口は、陰の昇る夜にのみ開かれる。K.J.』——だってさ。どういう意味?」
オレは思わず笑顔になった。ん? 「なった」ということは、今までオレは真剣な顔をしていたらしい。……シュウを心配しているのが、顔に出たか。
まあそんなことはどうでもいい。本当に、本当に——
「本当にK.Jって書いてあるのか?」
「うん。書いてるけど」
シュウが器用に降りながら言う。すると、オレは思わず声を上げた。
「すげえよ! とんでもないお宝見つけちまったかもよ。相当な額の何かかもしれない。絶対手に入れようぜ!」
「いや、まずは誰か大人に言うべきじゃないか?」
すかさずレオンはブレーキをかける。ケリーは面白そうなことに目がない。好奇心と友のためなら喜んで死ねるような人間だ。何をしだすか分かったものじゃない……とでも考えているのだろう。悪いがその通りだ。