ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

第一話 ( No.5 )
日時: 2010/12/29 13:20
名前: 雷燕 ◆bizc.dLEtA (ID: buJGQ2Tw)

 ただ今回は話題が悪かった。シュウが食いついてくる。
「それ本当か、ケリー?」
「恐らくは。つーわけで今回は堅いこと言わずにいこうや、レオン。子供向けの可能性も高いんだし」

 ここに来る前にオレが(レオンの家の本やレオンの家のパソコンで)調べた情報によると、K.ジョウンはかなりの子供好きだったという。さらに、ここへ続く洞窟はオレ達が通ってきた洞窟の他にももっと広い道があったそうだ。しかしそこは意図的に塞がれており、先へは進めない。
 だからここへ来るためには、先ほど三人が通ってきた子供がやっと通れる程の狭い洞窟を通るしかない。つまりこれは、子供に来てほしいのでは?
 ——と、来る前に三人で推測していた。

 迷っているレオンの顔を覗き込むと彼と目が合って、
「——分かったよ。ただし、危険だったらすぐにやめるからな」
レオンが折れた。

 先の事を案じているであろう彼の横で、シュウはまたどこかへ行き、オレは目の前の石の塊を写真に撮り始めた。オレはカメラなどもっていないので、レオンの最新のデジタルカメラだ。そんなものを買う金はオレやシュウには無い。
 たまに写真を見返すと、今までやってきたことが無茶ばかりで面白い。この前の洞窟探検で上から大きな石が落ちてきたことがある。
 そのすぐ近くにいて、よもや死ぬところだったシュウの驚いた、そして恐怖に満ちた顔もしっかり撮られていて、後で大笑いしたのを覚えている。今あの状況を考えると笑えないが。

 そんなことや、他にも森の奥で見つけた珍しい動物の写真や遠出して海に行ったときの写真なんかも入っている。二人がいてくれるおかげで、本当に毎日退屈しない。

 今回も、どうか最高の思い出ができますように——

 オレは、信じたことも無い神に向かって祈った。