ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

第一話 ( No.7 )
日時: 2011/01/15 11:44
名前: 雷燕 ◆bizc.dLEtA (ID: l2k0mPFo)

 廊下は、あまり派手に飾り付けられているわけではないが、広く清潔でいくつもの部屋につながっているおかげで裕福なことが容易に窺える。レオンの父親は有名な資産家だ。シュウやオレからするとこんな家に土足で入ってきていいものなのか、と思ってしまうものだ。
 二人ともレオンの家に来ることはあまりないので、つい周りが気になってしまう。といってもきょろきょろと周囲を見ていたのはシュウだけで、オレはそんなみっともない真似はしなかった。というよりできない。

 玄関につくと、レオンは懲りずに言う。
「でも、危ないだろ。やっぱり……」
 いい終わらないうちにオレは遮った。
「いいって。危ない状況なんて、今まで何度突破してきたと思ってるんだ?」

 俺は大歓迎だぜ——などといっているシュウの横で、レオンは諦めたようだ。あくまで女扱いはするなということを察してくれたらしい。まあ、前々からずっと言っていることなので今更だ。
 夜道の女の一人歩きが心配なのは仕方ないかもしれないが、あまり心配しすぎるのがオレに対しての侮辱にもなることは重々承知しているはずなので、そんな野暮なことはしない。途中まではシュウもいるし、大丈夫だ。

「——じゃあまた明日。気をつけてな。もちろん、シュウも」
 レオンがそういってシュウに笑いかける。すると、ふてくされていた顔がすぐにいつもの笑顔に変わった。
「またなー!」
「明日はいつもの場所に集合な!」
 待ち合わせ場所を決めるのは、いつもオレだ。

 実はオレは、そろそろこんな周りに迷惑をかけてばかりの生活は終わろうと思ってる。周りの奴らを見返そうと思ったら、いい加減に勉強というものをやらなければならないと思う。そろそろというか、今回のことが終わったら二人にも話すつもりだ。
 レオンは賛成する。分かりきっている。問題は、シュウだ。そんな話をしたら何と言うだろうか。とりあえず、賛成はしてくれそうにない。でも、たとえシュウが嫌だと言おうと、オレは気持ちを変えない——