ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 彷徨い人の十字路 参照100突破しました!! ( No.45 )
- 日時: 2010/12/15 06:35
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
- 参照: http://あ、浅葱です←
「ねぇ……その片眼鏡が何か関係あるの?」
ゲーデは路地を抜け出し、さらに街の北方向へとやや早足で歩き出した。
ライトはそんなゲーデの後を必死で着いて行きながら彼の片眼鏡を指差す。
ゲーデはライトの視線に気づくと、ふと自分の片眼鏡をじっと見つめてからこう言った。
「この片眼鏡で死体の気配を感じ取れる……因みに今はある騎士国へと向かっているが……」
「…………死体の気配が、多いとか?」
語尾を濁すゲーデにライトは首を傾げながらそう聞いた。ゲーデは深く頷く。
下町の北方にある騎士国。それはスラム街にいたライトですら知っている国でもあった。
名を、クロア・フェアモーレ国。
海、山、川と緩やかな地形に恵まれ、元々は芸術に力を入れていた国だった。
しかし王が前のドルッツェ王からヤクネス王へと変わるとそんな情勢は一変する。
ヤクネス王は自国の領土を広げようと兵を増やし、武器を増やし辺りの国のほぼ全てを自国の領土にした。
そしてこの領土が永遠に自分らの物になるよう、王位を継ぐものは自分の血族以外は認めない。
前代のドルッツェ王は血筋などどうでも良かったらしいが、現在のヤクネス王は違った。
それがクロア・フェモーレ国の文化の国から騎士国へと変わった悲劇だったそう。
……王位を継ぐ人、可哀想だな……。
ライトはそんな事をぼんやりと考えながらまたも必死でゲーデの後を追う。
いつも見る店の多い道を通り越し、人の少ない砂の多い荒野……この下町の北部へと着く。
初めて見る荒野にややスラム街に似た風景を感じながら、ライトは走る。
……でも、沢山の人が死んでるって事は、何があったんだろう……。
ふとライトはそんな事が頭を過ぎり首を傾げた。戦争でも起こっているのか……良くは分からなかったが。
ただ、何故か背筋が凍るような嫌な予感に襲われたのでライトは必死でそれを取り払い走り出した。
「……む。やはり、予想通りだったか」
「どうしたの? 予想通りって……」
「騎士国が何故こんなにも死体の気配がしたのか……ようやく分かったんだ」
ゴクリ
ライトは嫌な予感が的中する気がして生唾を飲み込んでからゲーデを見つめた。
ふとゲーデが突然足を止めたかと思えば、手に持っていた杖で北の方を指差す。
ライトが何かと思い、その方向を見てみると
——————そこには、沢山の息絶えている兵士が居た。