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Re: 彷徨い人の十字路  ( No.73 )
日時: 2010/12/31 20:46
名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)


「でも魔力で爆発させたのは……どうして?」


ライトはふと浮かんで来た疑問をゲーデに問う。ゲーデはシルクハットを目深に被りながらふぅ、と溜息をついた。
あれ……まずい事聞いちゃったかな……。
ふとライトは自分の問いをもう一度頭の中で復唱し、何が悪かったのか確認をし始める。

と、同時にゲーデが何故か嬉しそうに微笑み、答えた。


「それを今から探りに行こう」
「え……えぇ?」


何それ、どうして? とライトは言いたくなったがいつの間にか城(だった建物)へ入るゲーデを追うためそれは適わなかった。
置いて行かれないよう(尤もライトはゲーデが自分の事を置いて行くとは思わないが、一応)さっさと着いて行く。




かつては豪華絢爛であり、現在はただの半壊した城でもある建物へ……。



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「……これは酷いな」


元城の建物へ入った瞬間、ゲーデはやれやれと言う風に肩を竦めて溜息をついた。
何が酷いのかと言えば、恐らく建物だろう。外観も酷かったが、中はもっと酷い。

中央まで歩かないと部屋の全貌が見渡せない、それほど広い部屋(一階)はまず、瓦礫でほぼ埋もれている。
瓦礫に埋もれていないところは窓であった硝子の破片、シャンデリアの破片、肖像画の細かい紙……色々破壊しつくされた物が散乱していた。
やはり、余程酷い爆発だったのだろう。その事を改めて知らせられるような部屋の光景に、ゲーデはそう言う反応を示していた。


「人は、残ってるかな」
「さぁ……しかしこの様子では全滅と言っても過言では無さそうだな」


ライトは辺りを見回してから笑いも焦りもせず、強張った表情でその場に立ち尽くしていた。
ゲーデはそんなライトに軽口こそかけなかったが傍に立ち、冷静にその場の現状を告げる。
防ぐ硝子の消え去った窓からはやや荒く冷たい風が吹き、二人の身を僅かに震わせた。


「……大丈夫か?」


心配そうにライトの顔を覗き込むゲーデに、ライトは首を縦に動かして肯定のサインをする。
それを確認したゲーデは薄く微笑んでから歩み始めた。