ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 彷徨い人の十字路 ( No.75 )
- 日時: 2010/12/31 21:53
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
「げ、ゲーデ悪魔なんでしょ!? ちょっと調べてみてよ、ねええええええええええええええええええええ!!?」
「いやいやいやいやあの死体の額に杖乗せろって言うのか!? いくらなんだって私は嫌だぞ!?」
ライトとゲーデは半ば抱きつくかのような形で身を寄せ合う。顔は真っ青と言うか白く、身体は小刻みに震えていた。
一応悪魔であるゲーデは口とは裏腹に視線だけ動かし、その血まみれの死体を見る。
ドレスを着ていて、身長などを見ればライトより少々下くらいの年齢である少女(だと思われる)。
爆風で吹っ飛ばされたのか、かなり大量に出血している。さらに衝撃的なのは、右腕が四肢から外れ床に転がっている事だろう。
(爆風の震源地にでも居たのか……? ドレスを着ているところから、姦婦で無ければ位が高い者の筈だ……)
取り乱していた(?)時とは正反対のように冷静な推測を繰り広げる。ライトもまたその死体を見つめていた。
……すると、ゲーデの右手が突然、
燃え出した。
「!?」
「ゲーデ!」
突然の事に何があったのかと戸惑う暇もなく、ゲーデはとりあえず着けていた手袋を急いで外す。
そして後方にのけぞり、肩を上下させて呼吸をした。外した手袋は床に着いた途端今度は灰と化し、見るも無残な姿へと変貌した。
ライトは急いでゲーデに駆け寄り手袋とゲーデを交 互に見つめる。
「手袋……どうして燃えたの?」
「分からんが、一つ言えるのは」
そう言いかけ、ゲーデは自分の右手を見ながら苦笑して話す。
「この十字架を触っていたら燃えた、と言う推測くらいかな……」
瓦礫付近に落ちていた、クロア・フェモーレ国の次期後継者が付ける物である十字架。それを触ったら手袋が燃えたらしい。
ライトは恐る恐るその十字架を見、訳の分からない。と言う風な表情を見せる。
しかしゲーデはそれと対照的に死体を見つめてからふぅ、と溜息をついた。
「どうやら次期後継者様、だったようだな」