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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 彷徨い人の十字路 ( No.76 )
- 日時: 2010/12/31 22:20
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
「は……? 次期後継者様?」
「まぁ、ちょっと耳にした事なんだがこの魔力の込められている十字架は持ち主以外の物が触れたり、持ち主の感情に呼応して爆発するらしい」
「…………」
ライトは十字架からその倒れていた視線をずらし、死体を見た。
つまり、持ち主では無いゲーデがこの十字架に触れたら十字架が燃えて、持ち主が後継者でゲーデの視線は明らかにこの死体に向いていてこの少女に向いていて……この少女は。
「じゃあこいつが次期後継者って言うのかよ!?」
と、言う訳になるのだった。
「……そうなるな。と言う事で一応成仏させておくか」
「え? どうして?」
「このまま幽霊になってでも出られたら今私たちが居る場所が吹っ飛びそうだしな」
……冗談なのか、本気なのか。訳の分からなくなったライトは頭にクエスチョンマークを浮かばせつつ、頷いた。
そしてライトは例の杖を取り出し、少女の額に柄の方を軽く当て、一度浮かせて再度当てる。
すると、これまた例の淡い霧が少女の額から浮かび、ゲーデはそれに手を伸ばし……
視界が淡い霧もやの十字路を映した。
「…………」
一分も経たない内に死体だった少女が十字路の中心にやって来て、少女は、
北へと歩みを進める。
「北……!?」
(復活させる……生かすべき、存在……)
ライトが驚くのを横目で見つつ、ゲーデは北の道を通る者にどう言う処置をするのかを復唱していた。
この少女はまだこの世に居るべき。その事実を目の当たりにして、ゲーデは平静を装いながら少女の肩を掴み、その額に杖を当てる。
すると少女の身体が糸の切れたマリオネットのように、崩れるようにしてゲーデに向かって倒れた。
ゲーデは少女を両手で受け止めてから、視界が暗くなってゆくのを感じて…………元の瓦礫を視界に映す。
「…………」
勿論其処には少女も居た。
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