ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ———トウキョウ戦争——— ( No.1 )
日時: 2010/12/04 12:24
名前: fiore ◆GpUAaOdKuo (ID: 34QCmT3k)

#プロローグ


「お前はなんでこんな問題もわかんないんだよ。」

「うっさいなぁ!ウチは兄ちゃんとは違うの。」

「バッカ。これ基本中の基本だぜ?分かんない方が終わってる。」

「・・・」

よくできた兄と馬鹿な妹。歳が5歳も離れているせいか、親はそこまで私と兄を比較しない。

てか、比較したところでどうにもならない。

私たちは仲が悪いわけでもない。いたって普通の家庭に生まれた。平凡な家庭というわけだ。

「人は想像したものを本当に作ってしまう。」

兄の口癖だ。

人は空を飛びたいと飛行機を作った。
速く移動したいから電車を作った。

兄はそう、私に話していた。

勉強ができて、運動は普通にできて、親孝行で。
小さいころから一緒。

別に、こんな平凡な家庭が壊れるわけないと思っていた。
むしろ、壊れるほどのなにかを犯した事が無い。

だから私はいつものように笑っていた。


そんなある日、変なことが起きた。

クラスメイトの1人が1日学校を休んだ。
別に、怪しいことはない。

どうせ風邪だろう、だとか思ってたけどそこから異常が起きた。

5日、6日、7日…そして2週間に達した。

風邪をこじらせた。そう思っていた。


でも、違った。

私はある日、放課後 会議室の前を通った。

ささやく様な話し声が聞こえた。人間のエゴだろうか、立ち止まって聞いてしまった。

「生徒の親が、○○など存在しない。と言っている」

耳を疑った。怖くなって走って帰った。


私は、兄に話した。何かと一番頼れるのは兄だ。

「あんまり深入りしない方がいいじゃないか?」



———とりあえず兄以外には話さないことにした。


「あまり悩みすぎるな。赤点のお前に何ができんだよ」

兄は、やさしく頭をなでながら言った。

「失礼な!!このさい赤点も関係ない!!」

あらためて兄の優しさに触れた。





————残念ながらその、大好きな兄は









        もういない。