ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ———トウキョウ戦争——— ( No.7 )
- 日時: 2010/12/15 17:26
- 名前: fiore ◆GpUAaOdKuo (ID: LMLu5hTj)
#1
何か変だ。
おかしい。 どうしてだろう。
そうだ…——————
「兄ちゃんが…いない…」
私はリビングのドアの前で立ち尽くした。
いつもなら居るはずの時間帯に兄がいない。
——————クラスメイト失踪から3週間が経つころ、兄は忽然と姿を消した。
「ねぇ、兄ちゃんは…?」
早くに家を出て行った。そう言ってほしかった。
「何言ってんの、悠。あんたは一人っ子でしょ?」
「…は?」
藤井家の自慢の「遥」という息子。
私にとっても自慢の兄だ。
そんな息子を忘れるはずが無い。
「ちょっ、何言ってんのはこっちのセリフよ。母さん、本気で言ってんの?」
「悠こそ何よ。夢と現実、ゴッチャになってんじゃないの?」
母は、そう笑いながらいって
何事も無かったかのように私の弁当を作り始めた。
いつも2つあるはずの弁当箱も今日はひとつだけ。
私はあることを思い、ダッシュで2階へと駆け上がった。
兄の一人部屋。きれいに整頓された部屋————
「ない…」
息をきらしながら部屋を見渡した。
タンスも、カーテンも、机もベットも服も鞄も時計も置物も教科書もノートもペンも筆箱も何もかも全て
ない。
「どうなってんの…」
私はわけが分からなくなった。
絶望に近いような気持ちで母のいるリビングへ向かった。
「支度しないと遅刻するわよ。もぉ、いきなり2階に行っちゃうんだもの。どうしたのよ。」
「………の?」
「え?」
「本当に…分からないの…?」
私は問いかけた。
「まだ寝ぼけてるの?ほら、早く支度しなさいよ」
「……」
おかしい
変だ
まるで機械が壊れたように
まるで世界が混乱してるみたいに
全ての記憶が
白く塗りつぶされたみたいだ。
まるで
知らない世界に
閉じ込められたかのように
私は急に
不安になった。