ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 名探偵(自称)は今日も往く ( No.9 )
- 日時: 2010/12/08 19:33
- 名前: 黎龍 ◆YYYYYYYYYY (ID: 7KvZCID9)
- 参照: シリアス60% コメディ40%
「自称名探偵の脳内はビューティフル」
「…? 隣に引っ越してきた人?」
私はそう訊く 返事はかなり間を空けて返ってきた
「おー! えぶりばでぃ! 隣に引っ越してきた夢田 叶志郎です! よろしく!」
そう夢田 叶志郎は、手書きの名刺を手渡してくれた 汚い文字が殴り書きされて、
┏━━━━┓
┃名 ┃
┃探 ┃
┃偵 ┃
┃ 夢 ┃
┃ 田 ┃
┃ 叶 ┃
┃ 志 ┃
┃ 郎 ┃
┗━━━━┛
…と書かれている、汚い文字で。
「…それで、夢田さんは ”名”探偵なんですか?」
名の部分を皮肉っぷり満載で強調する。
「それはねぇ… ”名”探偵だからだよ。」
本人も名探偵の名をとても強調する
見た目からすると、名探偵じゃなくて変なおじさんだ。
…流石に言い過ぎた 心の中で反省している間に、名探偵はこう話を始めた。
「…僕と対面する時、何故あんなに苛立っていたのかな? その理由を僕なりに推理してみよう。」
…? 何を言ってるのだろうか?
私が苛立っていたのは、ぬいぐるみが消失したその不安感が怒りに変わったものだ。
この人は何も知らない…はず。
「君は、今家に帰ってきた 午後四時。」
「あ、はい。」
そんな事はこの人にもわかる これが推理なのか?
「そして、家の扉を開けた お母さんが居なかっただろ?」
「はい。」
「お母さんは今倉田商店街の方に買い物に行ってるのを見た。 …買い物かはわからないけど。」
「…? それがどうしたんですか?」
「苛立ってた理由は、君が何かをなくしたからじゃない?」
「…なんで分かったんですか?」
摩訶不思議。
「…簡単だよ 君の服装は物探しをした人間との共通点がある 物探しをしている人間の常態を並べてみよう」
「まず一つ目 服装が普通と違って汚れている。」
「二つ目 息が荒くなっている。」
「そして三つ目…」
そう言い夢田さんはこっちに指を三本出す。
「… 三つ目は、消失した物以外に対しての”八つ当たり”だよ。」
————凄い。
私は息を荒くしていた。
この人が来るちょっと前までぬいぐるみを捜していた。
ホコリが舞っていたので服が汚れていた。
全て、該当する…
「…ちなみに、なくなった物はくまのぬいぐるみなんですけど…」
「あ、やっぱり? 君のお母さんが熊のぬいぐるみを袋に入れてたね 顔が見えたよ。」
「…じゃあ、なんで?」と私は訊く。
「…ぬいぐるみに、刺繍された場所が切れたから専門の人にあずけたんじゃないかな?」
なんだか安心した。