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　第一話「何故」

俺はよくよめない状況をどうにか判断させようとした
足りない脳みそをしぼりとって、
出たのがこの答え。

「誘拐」


こんな馬鹿でもわかりそうな言葉をしぼりだしているうちに、女がこちらを向いた。


「何故・・・・」

「はあ？」

とっさに出た言葉をあわてて閉じる。
殺されたらどうするんだ、俺の馬鹿、馬鹿。
既に遅かった。


「はあ、じゃないわ。何故応募したのか？と。聞いているのよ」

ならはじめからいうべきだろ。

「その前に聞きたい・・・・お前は誰で、何故俺を連れて行く！？」

強い態度で言い返す。
相手に殺意があるかなんて知らないが、
今はわからないことを優先としたかった。


「・・・・・ツアーの案内人」

一言で済まされて、とても不愉快だ。

「ああ、それより俺を————ッ！？」



目の前に犬がいた。
可愛い子犬。
女が抱いている子犬。
その子犬に女は——————


ザシュッ！


俺が驚いた理由はコレだ。


指で目ン玉をくりぬいたのだ。
正直握力強いなーって、そんなことをいってる場合じゃない、次はお前とかいわれるかも？

「あ、あ・・・・何して・・・・・・・動物は大切にしないといけないんｚｙ「死んでないわよ？」

「え・・・・・・」

犬の目は赤く腫れている。
血がどろどろと流れ出る。
しかし、

「ワン」

吠えている。

「なんでだ・・・・」

「死のない世界だからよ——、香美矢　來」

は？
ＨＮなんで知ってる・・・
コイツは人攫いじゃないのか、そうか・・・・
ツアーの案内人は本当そうだけど
死のない世界って、なんなんだ・・・・・・


幸せな世界、のはずなのに・・・・・・・
人が死ぬことなく生きていける世界—————

「ついたわよ」


考えがさえぎられた。





第一話　完