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Re: 王的血族 ( No.9 )
日時: 2010/12/09 17:15
名前: 狂人魔女 ◆MBxXfTBjZQ (ID: BcdVt4VG)

Ⅰ-Ⅰ「王的会議」

本日は大嵐。時折光る稲妻は室内を明るく照らし、奥に飾られている肖像画が妖しく照らされる。

「遠路遥々お越しいただき大変恐縮です」
と、肖像画をバックに語る少女。外見こそ十数歳だが、実際に生きてきたのは何千年になるだろうか。
彼女は女王。誰一人、彼女の名を知らない。彼女は序列第一位。
すなわち、王になるべき存在。だが、兄弟から猛烈な反対を受けている。

長いテーブルに沿って並ぶ椅子には、威厳に満ちた顔の王族たち。

今日は「七つの大罪」を司る王族の親族会議。他にも「地獄の貴族」を司る王族や
「グリゴリの天使」を司る王族「貶められし神々」を司る王族がいる。
他の王族は「七つの大罪」を司る王族とは違い、揉め事もなく平和に過ごしている。

「貴様程度に序列第一位……。王の名を与えようとは思っていない」
と、厳しく告げるのは序列第二位の長男。傲慢を司るルシファーの名をもらっている。
彼はある幼い娘が王になる事を真っ向から反対している。

序列とは、力のある順につけられた称号。その序列は、大きく彼らにのしかかる。

「あたしもよ。こんな未熟者が王なんて、信じられないわ」
そう告げるのは序列第三位の長女。嫉妬を司るレヴィアタンの名をもらっている。
彼女もまた、ある娘が王になる事に反対している。

「で……。これは話し合いで解決することじゃない。力で解決するのか?」
と、面倒くさそうに告げるのは序列第四位の次男。若かりし頃は自他共に認めるプレイボーイであった。
彼は後継者争いに興味がないのかと思えば、そうでもないものだ。

「言葉で解決しないものは暴力で解決するの?」
と、次男の発言に反対の色を見せる三女。色欲を司るアスモデウスの名をもらっている。
彼女は序列第六位。後継者争いに食い込める人物たちの中では一番力が低いと見られている。

「私は王の名には興味ありませんから。どうぞ勝手に進めて下さい」
と、大広間から退室するのは貪欲を司る悪魔の名をもらったマモン。
彼は根から王の座になど興味はないらしい。食事を終えてから自室へ戻ってしまった。

だれが王になるのか、この時点では誰も知る由はない───。