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Re: ——呼ばれた ありす——  立て直しです  ( No.1 )
日時: 2010/12/08 13:57
名前: 彗 (ID: iOs0JzFP)

【0章 呼びに来ました〜】   1話


綺麗な空だ。

単純な青色で
雲が適度にあり ゆっくりと流れている。

授業をサボっても見る価値がある。



と、そんな事を俺 三月 ありす は考えていた。



昼食のパンを屋上で一人で食べ、そのまま横になっている今。

昼放課の終わりを告げるチャイムはとうの昔に鳴ったが、起き上がる気力が湧かなかったので無視。


だいたい こんな綺麗に晴れた日に教室で授業っていうのが間違ってるんだよ。
こういう日は 日向ぼっこ 兼 昼寝 というのが決まってる。

それに俺は教室に行ったところで、どうせ先生の言葉なんて一言も聞く気は無い。
なら このままここで寝ていたって誰にも迷惑はかからないだろう。



そう考えて 俺は遥か上空を流れる雲を数え始めた。

羊を数えて寝れるなら、羊と同じ白くてふわふわ(?)している雲を数えても寝れる! という考えから思い立った。



「雲が一つ………雲が………」




…………駄目だった。
流れるのが遅すぎて、逆に数えられない。


だが、天高く昇った太陽の光のおかげで俺はしだいに眠くなった。


「…………」


まぶたが重い。
少しずつ視界も狭くなる。


が、その狭くなる視界の隅に何かが映る。


白くて多分ふわふわしているもの。


羊?


俺は心の中でそう思い、眠りについた。








のだが、


「起きてください〜。」


俺は体を揺すられて起こされた。


誰だ? 人様の安眠をわざわざ妨げる奴は。

俺は少しイラつきながらも上半身を起こし、俺を起こした奴を見た。


驚く事に俺を起こした奴は幼い真っ白な少女だった。

白のワンピースに紅いチョッキを着てて、白い髪の下にある白い顔は綺麗に整っている。

いや、綺麗というよりはカワイイという感じだが、俺はそれよりも他の事に気を奪われた。


「ウサギ……耳…?」


その少女の頭の上には、真っ白で多分ふわふわしたウサギの耳がついている。
おそらく 俺が(一瞬だけ)寝る寸前に見たものだろう。


最初は最近はやりの猫耳の類(たぐい)かと思ったが、

「目がさめましたか〜?」

と少女が喋るのと同時にピコピコ動いたのだ。

そうなると、このウサギ耳は……いや! まだ本物と決まったわけじゃない!

俺は起き上がり、少女のウサギ耳を凝視する。

「ど、どうかしたんですか〜?」

少女が喋ると同時にまたピコピコ動く。

俺は意を決して、その耳を軽く引っ張ってみた。


 —— ギュゥーー…… ——


「な、何ですか〜!?」


……取れなかった。 
つまり、あのウサギ耳は……本物?


俺は動揺しながらも改めて少女を眺めた。


全体的に白い中で、チョッキと瞳だけが違う。
俺が耳を引っ張ったせいで涙を目に溜めているが、瞳の色はチョッキと同じで紅い。

見れば見るほどウサギを連想する。


少女は俺の行動が理解出来ないという顔をしていたが、急に何かを思い出したかのか チョッキの内ポケットから銀色の懐中時計を取り出して、時間を確認すると……

「あわわ!時間が無いです〜!」

と言った。

そして 俺の目を見て、

「ごめんなさい!」

と言うと同時に鈍い音が俺の頭の中に響き、俺は気を失った。