ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ——呼ばれた ありす——  立て直しです  ( No.3 )
日時: 2010/12/08 18:48
名前: 彗 (ID: iOs0JzFP)

2話


俺はもう一度深呼吸をして心を落ち着かせた。

もっとも、いきなり目の前に変な少女が現れ、その少女に頭を鈍器(懐中時計)で殴られて気絶して、目が覚めたら全然知らない場所にいる。

この状況で落ち着ける奴がいるなら是非教えて欲しいものだ。

俺は怒鳴り散らしたい気持ちをかな〜り抑えて、少女と改めて向き合った。


「で、俺は幾つか君に聞きたい事があるんだけど?」

「はい。何でも聞いてください〜。」

俺の我慢に少女は気付いてないようだ。
可愛らしい笑顔で俺の言葉を待っている。

とても さっき俺の頭を鈍器(『銀』製の懐中時計)で殴った様には見えない。

俺は心の中でため息をついてしまった。
何だか怒っている自分がバカらしく感じるのだ。


「じゃぁ、まず君の名前は?」

「私ですか?私はシロウサギと言います〜。」

見たまんまじゃないか。

「シロウサギか……何て呼べばいいんだ?」

まんま過ぎて呼び方が分からない。
流石にシロウサギと毎回呼ぶのも面倒だし……

「シロでもウサギでも好きな風でいいですよ〜。」

「じゃぁ、……シロで良いか?」

「はい!全然良いですよ〜!」

俺の言葉にシロの可愛らしい笑顔が輝いて更に可愛くなる。


「それじゃ、俺の名前も一応言っておかないとな。俺の名前は」

「大丈夫です。私知ってますから〜。」

「?」

「『ありす』さんですよね?」

「そ、そうだけど、何で知ってるんだ?」

「知っているから連れてきたんですよ〜。」

「?」


「私達が必要としているのは『ありす』で、他の誰でもないってことです〜。」


「私達……必要……?それってどういう」

俺が喋ってる最中に、シロは時計で時間を確認する。
すると、

「あわわ!遅刻しちゃう〜!」

そう言って再び一人で慌てだした。

そういえば 最初も「時間が無い」と言っていた。
何が迫っているんだ?

「お〜い、シロ?何の時間が無いんだ?」

「あ!説明は後です!だから、一緒に来てください〜!」

「あ、おい!」

シロは俺の手を掴むと、俺の全く知らない森の中を駆け出す。

いったい何があるんだ?
そして ここはどこなんだ?

俺の頭の中は沢山の疑問で破裂しそうだ……





 —— シロとありす が走り出した後 ——

シロ達がいた近くの木の上に一人の女がいた。

鮮やかな紫色の髪の毛が印象的な美女だ。

だが、それよりも頭の上にある猫耳の方が目立つかもしれない。
あと お尻の方でクネクネ動いてる尻尾も。


「あの子が『ありす』かぁ〜……」


美女はそう言うとその場から姿を消した。

別の場所に行ったという意味ではない。
自分の姿を透明にしたのだ。

そして そのまま音も無くシロとありすの後を追った。