ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: ——呼ばれた ありす—— 立て直しです ( No.4 )
- 日時: 2010/12/09 16:27
- 名前: 彗 (ID: klLmhm9D)
3話
どれだけ走ったのかは分からない。
だけど シロに手を引かれたまま走り続けていたら、いつのまにか森を抜けて地平線の広がる平野だった。
「まだなのか?」
「も、もう……少しですぅ〜…」
この会話もさっきから何回もやっている気がする。
いいかげんにして欲しい。
そんな事を思っていると、ようやく少し先の場所に何かが見えてきた。
最初は何があるのか分からなかったが、次第にそれが何なのかが見えてくる。
そして シロの目的地がそこだというのも分かる。
そこには、小さな家が一軒あり、その傍にはテーブルと椅子が置いてある。
そして 誰かがいる。
「早くー!」
声が聞こえる。
もちろん シロからじゃない。
向こうにいる人からだ。
いったい何が始まるんだ?
また同じ疑問が俺の頭をよぎった。
—— ようやくシロの目的地に着いた ——
「遅い!」
「ご、ごめんなさい〜……」
着いて早々にシロは怒られている。
怒っているのはさっきから叫んでいた少女。
少女といっても俺とさほど歳は離れてないように見える。
金髪のツインテールが印象的だが、俺は頭の上に載った小さなシルクハットが気になる。
あの帽子は多分シロが着けた方が似合いそうだ。
少女には少し幼過ぎてバランスが釣り合ってない気がするのだ。
「まぁ、まぁ。そんなに怒ったらシロウサギちゃんが可哀相よ。」
金髪少女とシロの間に別の人が仲介に入った。
綺麗な茶色のふわふわした感じの髪型をしていて、見た感じ俺よりも年上だ。
だが! その人の頭の上にも色は違うがシロと同じウサギ耳があった。
俺の予想ではあれも飾りではなく本物……。
「だけど……」
金髪少女が不満そうな顔をするが、
「それに早く始めないとヤマネちゃんが寝ちゃうわよ?」
ウサギ耳お姉さんが指差す方向にはもう一人の少女がいる。
椅子の上で、長い黒髪を揺らしながら首が船を漕いでる。
歳は俺より下だがシロよりは上 って感じだ。
「う〜〜……分かったわよ。」
金髪少女はヤマネと呼ばれた少女を見ながら渋々シロへの説教を切り上げるが、
「だけど!何で遅れたのかは説明しなさいよ!」
とシロに言った。
「は、はい!実は私 『ありす』さんを連れてきたのです〜!」
「『ありす』? どこにいるのよ?」
「この人です!」
シロが後ろの方でずっと立ち尽くしていた俺を指差す。
そして、手招きをする。
俺はみんなの視線を浴びながら現れて言った。
「えぇーと……はじめまして。ありすです。」