ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

【第壱話】黒蝶は鮮やかに舞う  @2 ( No.6 )
日時: 2010/12/26 21:28
名前: 氷河 (ID: 8hgpVngW)


「んじゃー、ボス。後は頼んだかんね」
「え、ちょっ……置いてくの?!」
「ボスでしょ、しっかりしてよ」

ボスはわたしのつつじ色の帯を掴んで離そうとしない。
お腹苦し……。

「こんにちワ、紅蝶さン」
「『紅蝶』??誰だよソレ、知んねぇなぁ」
「え、知らないんですか??じゃ、ボスじゃねーって事で失礼しまーす」
「置いてかないで!!」

……というように、わたしのボスはヘタレです。
つーか、待ってるんですけど。オカマの『緋蜘蛛』ボスさんが。

「無視しないでくださーイ」
「おぉ、すまん」
「実はですネー、」

そう言って奴(名前知らない)の後ろから美少年が突入してきた。
それにしてもめちゃめちゃ顔綺麗だなーとまじまじ見ちゃうわけなんですよ。でも、目が死んでるし、どちらかと言うと関わりたくないタイプ。

「彼ネ、ウチのエースさんなんでス」
「だからどーしたよ」
「ワタシ達と手を組みませんカ??」

手を広げて友好関係を示してくる。てか、後ろの美少年関係なくね??
……顔がうっすらとしか見えないけど、わたし視力悪いし。

「それとそいつと何の関係があんだよ」

ボスが真面目に……なってなかった。足めっちゃ震えてる。膝が笑ってるし。

「ンー、ですかラ、」

緋蜘蛛ボスは一瞬でボスの前に移動する。(何かボスいっぱいで呼びにくい)

「貴方のとこのエースさんト、此方のエースさんと戦っテ、勝った方の意見に従ウ——デス♪」
「……え、」

みんなの視線がわたしに集まる。
もしかしなくてもわたしにやれって事ですかね。

「……頼むっ、イリヤっ」
「えー」

あからさまにめんどくさそうにしておく。
わたしはチラッと美少年君の方を見る。逆光で見えにくいし、わたしの視力が悪くてよく見えないけど。

「しゃーねー、やってやりますよっ」

わたしはそこら辺に落ちていた木刀を拾って、適当に構える。

「うひゃー、オーラが凄いねー。君、ほんとすご」


刹那、わたしの腹に閃光が駆け抜けた。
わたしの後ろには、居るはずも無い男が光る日本刀を持って立っていた。



その視線、まるで矢のように鋭く、わたしを射抜く。