ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 孤塔の少女 オリキャラ募集中です ( No.25 )
- 日時: 2010/12/13 16:34
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
ぴちゃっ、と水滴が俺の頭に一滴かかってくる。
その冷たさに目を覚ますと、其処は何か良く分からないがとても静かな暗い部屋だった。
家具と言う物は一切置いてなく、そっと起き上がった俺の頭にも枕や布は敷いていない。
そして床は岩のようなゴツゴツとしている物で草などは生えていないが、洞窟のようだった。
明かりが無い為、暗く良く見えない部屋を見回し、ふと自分の横に友弥が倒れているのを発見する。
(家の硝子が吹っ飛んで、女が出て来て……光が凄い眩しくて……それからどうなったんだろう……)
そして少女に言われた言葉とこれまでの経緯を思い出して疑問も出て来た。
……助けるも何もこの部屋からどう出れば良いんだ?
先ほどまで此処で寝ていたらしきせいで痛む頭を押さえながら溜息をつく。
寝ている(と言うより気絶している)友弥を起こしたくなったが気の毒だったので、止めておいた。
「君は誰かな?」
ふと俺の後ろでそんな声がして肩を自分でも分かるほどビクッと震わせながら後ろを振り向く。
俺を呼んだ人物は長い黒髪に紅目を持ち、顔は若干女顔。
黒いロングコートにシルクハットと少なくとも俺の周りでは見かけないような服を着ていた。
そして表情に微笑みを浮かべながら俺をじっと見据えていた。
……と、ここまで来て疑問を思い出して答える。
「俺は岬川葵。……お前は?」
「ボク? ボクは伊集院麻音。……あ、君はなんだい?」
そう言って麻音はくすりと笑った。一瞬何を聞いているのかと思ったが身分を聞いているのだと知った。
そして俺が麻音をじっと見つつ自分の身分を告げようとした時。
先ほどまで向いていた前の方向からトン、と両手(らしい衝撃)で腰を押された。
背を押したその手にはさり気無く力が入っていて、何かと思い後ろを振り向く。
「あれ、話途中だったの? ごめんね。あなた、新入り? 名前は?」
「……岬川葵」
「へぇー、あたしは早乙女花音。宜しく」
そう言って花音はにっこり微笑む、と同時に花音につられてかこの部屋に居るらしい人達が近づいて来る。
麻音の疑問に答えていなので悪い気がしたが、麻音は特に気にしていないのかとりあえず微笑んでいた。
……何で此処にはこんなに人がいるのかと思いつつやっぱり人がいる事は嬉しかった。
何しろ先ほどまで途方にくれていたばかりだから。
そしてまず、ベアトリーチェと言う気付かれにくいらしい美形の女がこちらにやって来た。
良くは知らないが、花音如く性別自体が不明らしい。
「宜しくね、えっと……葵?」
そう言って友弥が目を覚ましていたら歓喜していた事であろう綺麗な微笑みを見せていた。
俺は生憎友弥では無かったので曖昧に返事をしながら握手をする。
そして次にやって来たのは桐村遊蓮と言う金髪で何故か額にサングラスを着けているアロハシャツの男だ。
とりあえず服装とかに色々ツッコミたかったが黙っていると、遊蓮はニコリと微笑んでいる。
その笑みは人懐っこい、何処か温かい笑みだった。
その微笑みにつられてか俺は自然と彼と握手をした。
「宜しくな」
そう言って遊蓮は手を離し、その手を振りながら部屋の何処かへと去って行く。
そう言えば、此処は一体何処なんだろう。
自己紹介で頭が一杯だったがそれが気になっていた。
そして麻音に聞いてみる事にした。