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Re: 孤塔の少女 オリキャラ募集中です ( No.34 )
日時: 2010/12/14 13:56
名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)


「あんた何してんのって聞いてるんだけど?」

サマエルの手が緩み、呼吸のしやすくなった俺はその声の主を見てみた。
パンク系な格好で、髪は肩につくくらいの長さ。そして黒目。声色は何処か怒りを帯びている気がする。
そしてふと見ればサマエルの片手を掴み、サマエルを目だけでぎろりと睨んでいた。
口はと言うと笑みを浮かべていながら、何処か起こっているかのような不思議な表情をしている。

「……東雲梓か……。コイツにとある仕掛けをしてみただけだ」
「ふぅ〜ん。どうでも良いけどさ、見たとこただの少年っぽい奴を殺すってのもどうかと思うよ?」

東雲梓と呼ばれた少年は見て分かるほど手の力を強くして、サマエルを見つめる。
サマエルはそんな梓を見て、そして俺を見てから溜息を着いて俺の首から手を離す。
突然離された為落ちる衝撃に備えられず、無様にしりもちを着く嵌めになった。
梓は俺が無事なのを確認するとサマエルの手を放し、視線はそのままで立っている。

「お前さ、いい加減にしろよ? 女を救い出せって行った割に、囚人殺そうとしてるけど、馬鹿だろ」
「勝手にほざいてろ。……お前らは黙ってさっさと意思を表明してエーリスを助ける事だ」

……囚人を殺そうとしている?
……エーリスを助ける……?

突然新たに出て来た言葉に戸惑いつつ、俺はズボンの埃を払いながら立ち上がった。
サマエルは梓を睨むようにして見るとくるりと彼に背を向け、扉から出て行く。
あまりに突然で何があった分からない程だ。俺は静かに溜息を着いた。
すると、梓がサマエルの背を見つめていたのかと思えばこちらを見てにこりと微笑んだ。

「俺はまぁ聞いたと思うけど東雲梓。……大丈夫だったか? あ、それと名前は?」
「あぁ、大丈夫だった。名前は、岬川葵」

その微笑みに応じて微笑みつつ俺は今日何度目か分からない握手をした。
ふと横を向けば友弥が立ち上がってこちらを見ている。どうやら心配してくれていた様子。
その証拠に目尻に涙が浮かんでいた。
勿論首を絞められていたとき助けてくれなかったのか、だなんて事は言わない。
恐らく逆の立場だったらそんな事は出来ないので。
そしてそんな俺らの様子を微笑ましげに眺めていた梓は手を叩いて全員の注目を集めた。
俺は自分達の様子を見られていた事に赤面しつつ、梓を見る。

「はいはい、じゃあ新メンバーも居る事だし……エーリス救出作戦でもしましょうか……あ、ついでに説明も」

そう言ってから梓はこちらを見て微笑む。説明をしてくれる配慮に感謝しつつ俺らは頷いた。