ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 忘却の金曜日 ( No.4 )
- 日時: 2010/12/14 18:59
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
「お前の事をこれから説明すっから……ガキんちょ二人は出てけ」
「えー嫌ですよー。このまま夕一人で置いてたら先生なんかしでかしません?」
「誰がするか馬鹿。あぁ、もうどうでも良いから勝手にしろ」
先生が真白さんと葉月さんを追い払うような仕草をすると真白さんが笑って先生に話しかけていました。
先生と真白さん達は、仲が良いみたいです。
もしかしたら僕繋がりなのかもしれません。
「ま、とにかく単刀直入に言えば夕。お前は記憶喪失だ。それも随分と厄介な奴だ」
……やっぱり、そうなんだ。
僕はそれを聞いて安心しました。自分がおかしいのは病気のせいだって分かったからです。
でも厄介な記憶喪失って一体何なんだろう、と思いました。
そう言う顔をしていたのでしょう。先生は苦笑しながら説明を始めてくれました。
「あのな……お前の記憶喪失は周期的に……毎週の金曜日に、お前は記憶を失くすんだ」
「じゃあ次の金曜日も忘れちゃうんですか?」
ちょっと哀しくなったけれど、すぐに顔を上げて先生に聞いてみた。
真白さん達はてっきり僕が哀しんでいるのかと思っていたのかとても意外そうな表情をしてます。
先生は暫く黙ってから、溜息を着いて深く頷きました。
「……多分、そうなるな…………。もっと言えば水曜日辺りからお前は自分を傷つけ始める」
「この包帯は……自分を傷つけた後なんですか?」
「そうなる」
先生は笑わないけど、また深く頷きました。
水曜日から自分を傷つける……まだ自覚が無いからでしょうか。あまり怖くなかったです。
真白さん達が心配そうな表情で僕を見てたので僕は微笑みながら
「…………まだ水曜日じゃないから、大丈夫です」
と言っておきました。
真白さん達は何故かおかしそうに笑いを堪えていたので僕はちょっと驚いてしまいました。
まぁ、笑ってくれたんで良かったです。
……真白さん達が哀しんでいるのはもう見たくなかったからです。
「それで、お前は自分を傷つける事があるから学校には行けない。まぁ、この二人が見舞いに来るけどな」
「いつもは来れないけどなるべく毎日来るね」
「どっちかと言えばうちより真白ちゃんの方が来るかな?」
そう先生が言うと真白さん達が僕にそう教えてくれました。
学校にはやっぱり行けないんだ、と思って溜息を着きかけたけど真白さん達が楽しそうに話してくれます。
なるべく毎日来てくれると言ってくれたので多分寂しくはならないんだろうなぁと思いました。
真白さん達が居てくれて、良かったです。