ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 忘却の金曜日 参照400突破しました!! ( No.161 )
- 日時: 2011/01/07 22:45
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
「ッ……」
頭が沸騰しているヤカンみたいに熱くて、突然の事に自分の冷たい両手で頭を冷やしているけれど熱が一向に収まりません。
ざわつくような声も聞こえてくるし、熱病にでもなった気分です。
しかも今は寝て起き上がる事さえ辛い上に両手が塞がっていてナースコールも出来ません。
(まだ大丈夫、ですよね……)
自分が何て言ってるのかさえ良く分からないけれど、とりあえず頭の中でそう呟いておきました。
自分でも分かるくらい息が荒くて、視界もボンヤリしてきてます。
僕、死にませんよね…………?
コンコン。
(! ……良かった)
「夕、開けるぞ?」
凄く幸運な事に浪森先生の声とノックの音。だけど僕は返事すら出来ません。
それでもまだ幸運な事に浪森先生が扉を開け、
……………………………………………………。
カシャーン。
「夕っ!!」
TV画面が割れ、包帯をしていない方の夕の腕が赤く染まり始めた。
浪森は瞬時に状況を察し、夕の元へと近づく。
自傷行為が 始まった。
自分の腕をTV画面の破片で傷つける夕を急いで押さえた。
しかし涼也の思った以上に夕は暴れる。まるで、錯乱しているかのように。
「あ、あぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁぁぁああああああああ……あぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
「お、おい……」
もがき苦しむ獣のように叫ぶ夕の様子に流石に浪森も焦りを見せる。
錯乱状態が治まるのを待つ、と言うのが作戦だが今のを見ると収まる気配が無いからだろう。
しかし夕はそんな事など気付かない、とでも言う風に暴れる。
「ぐあぁぁぁああああああぁぁぁぁぁああぁぁぁぁああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁああああぁっぁぁぁぁあぁぁあぁぁあぁぁぁあぁぁ!!」
「クソッ……暴れるなよっ!!」
立ったままじゃ危ないか……!
そう察した涼也は暴れる夕を何とか力で抑え込み、衝撃は無いようにして床へと倒す。
突然の事に夕は動きが一瞬止まった。
「ぐあっ!!」
今がチャンス、と言わんばかりに涼也は怪我をしていない部分に注射を打つ。
夕は一瞬針の痛みに叫んだが数瞬で眠りについた。涼也は深い溜息をつくと夕を軽々と持ち上げてベッドへと運ぶ。
そしてベッドにもたれ掛かりながら、一人呟いた。
「夕。お前、次の金曜日に耐えられるかすら分からないって知ったら……どうするか?」
そう言って、涼也はついさっき眠らせたばかりの夕を見る。そして苦笑しながら溜息を再度つく。
「自傷行為すらまともに対処できない医者で……本当に悪いな」
今度は苦笑せず、真剣な表情だったが夕は見ず、ベッドにもたれ掛かったまま天井を見ていた。
すると涼也の視界が霞む。
「何だよ……寝不足か?」
…………涙によって。