ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 忘却の金曜日 参照400突破しました!!  ( No.163 )
日時: 2011/01/07 23:08
名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)


「……あれ?」

目が覚めると、色々な事が変わっていました。
TVがなくなってて、両腕に包帯が巻いてあって…………浪森先生がベッドの近くで寝ていて……時間が夜になってます。
頭が熱くなって、浪森先生が来たと思った後僕はどうなっちゃったんでしょうか……。

「…………浪森先生?」

一応小声で声を掛けてみると、返事は無くて寝ている事が分かりました。
やっぱり出張とかで忙しかったんでしょうか。ちょっと気の毒に思えてきます。
起き上がらない方が良いと思ったので半身だけ起こして豆電球だけつけておきました。

……それでも浪森先生は寝ていましたけど。


「はぁ……」


何か自然と溜息が出てきました。自分に対する怒りみたいなのがこみ上げてくる気分です。
浪森先生に(多分)迷惑かけてるし、本当に何やってるんだろう、と言いたいです。
そもそも虐待されている事さえ忘れているし……肝心な所で駄目だなぁ、と思いました。


(あ、そう言えば……まだ資料があった筈……)

ふと虐待でそれを思い出し、ベッド付近にあった資料を手に取りました。
そして一枚目は枕の上に投げる風にして置いて、二枚目を見始めます。


(カルテ……?)

二枚目は一番上にカルテ、と大きく書かれていて誰かは分からないけれど詳細がありました。

“病名———不明(新種の記憶喪失と見られる
患者———16歳。男。
症状———毎週金曜日に自分に関する者、そして自分自身の記憶を全て失う。また水曜日から自傷行為を始め、徐々に悪化すると見られる。
過去の経歴———不明。
血縁者———両親は共に死亡。叔父叔母と暮らしていた模様だが、詳細は一切不明。(本人は覚えていない)

また、このカルテの横隅に雑に書かれた文章がある。
“記憶を失う事を繰り返すことによって最終的には発狂するのではないのかと見られる。”
尚、この患者の名前はこのカルテには書かれていない。”


「これ…………僕の事?」

思わずそう声に出してしまいました。
そして、それと同時に背筋が凍る感触に襲われます。



(“記憶を失う事を繰り返すことによって最終的には発狂するのではないのかと見られる。”? ……じゃあ、僕も……)


発狂、するんでしょうか……?


「……嘘、だっ……!!」


そのカルテを思い切り投げて、僕は枕に頭を置いて寝ました。
きっと嘘だと信じたかったんです。




嘘だと思いたかったんです。