ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 忘却の金曜日 参照500突破しました!!  ( No.167 )
日時: 2011/01/08 08:28
名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)


カチ、コチ、カチ、コチ……。

「             !!」
「      」
「        」


「                           !!」


カチ、コチ、カチ、コチ……。


ボーン、ボーン、ボーン…………。

「あ、れ……?」


時計の音で目を覚ますと、朝になっていて浪森先生も居なくなってしまいました。
そして僕は半身だけ起こし、昨日落とした時のままになっているカルテを拾いました。やっぱりそのままです。

……本当に僕は発狂してしまうんでしょうか……。

考えたくないけれどどうしても頭に過ぎって僕は溜息をつきました。
カルテの一番端にある文章は何度見ても変わらなくて事実だと言う事が分かります。

「………………」


これは、事実。
僕はもう長くないかもしれないと言う、事実。
本当は泣き叫んでしまいたい程怖かったけれど、心の中は自分でも分かるほど落ち着いていました。

(……そう、なんだとしたら……)

僕は紙の三枚をベッドにある小さな机の上に置いて、ベッドから起き上がりました。
無くなったテレビの後ろに……ペンがあるのを昨日見かけたんです。

「僕が、頑張らないと……」

ペンを右手で握って自分にそう言い聞かせてから僕はベッドへと戻りました。
そしてカルテを捲り、裏に何も書かれていない事を確認してから……ペンを走らせました。



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「何で今日はこんな大世帯みたいになっちゃったの?」

病院前。
えーと私と葉月は彩ちゃんと馨と一緒に病院へと向かってました。
現在地は病院から少し行った所にある交差点で、まぁいつも通り信号を待ちつつも歩いていたんです。
すると交差点には蒼さん、雅さん、宗弥さん……後空斗君が居たわけですよ。何事かっつの。

「いやね〜蒼が夕の事ずっと心配しててさ」
「あ、それ言うなって言ったろ! 大体お前らこそ何だよ?」
「夕のお見舞いです。親友として」
「夕さんの事なら蒼さん達に負けないくらい仲良しだと思ってますよ」
「……私も」

馨と彩ちゃんが冷静ながら蒼に反論する。
決意の強そうなその反応に蒼さんはややビックリしていて、雅さんと私が思わず同時に笑いました。

「と言うか最近あんまり来れなかったからな〜……夕怒ってないと良いけど」

ふと葉月が笑っていたかと思えば突然哀しそうな表情をして、そう言う。
……ばぁーか、とか言いたくなったけどとりあえず口を塞いで笑顔で葉月に返事をした。

「大丈夫だよ。そんなんじゃ私達が夕を励ませないでしょ?」
「……お前らは嫌いだけど、夕を心配させたら許さないからな……」

うーん。ベタ惚れしてますなぁ。
空斗君の堂々ツンデレ発言に私はちょっと笑いつつ、病院へと足を進めた。




(……夕、安心してよ。どんな夕だって、私は嫌いじゃないから)


今も、昔も、ね…………。