ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 忘却の金曜日 参照500突破しました!! ( No.168 )
- 日時: 2011/01/08 08:47
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
暫くして、病院到着。
大所帯みたいな私達に驚く人々は悪いけれど無視して病院へと入る。
「……着いたーっと」
私は独り言を言って受付へと向かう蒼さんと雅さんを見送りました。
そう言えば浪森先生は何処かな……。
「大所帯かよ、クソガキ」
「独身貴族の先生には分かりませんよ」
「うるせぇ」
独身貴族、もとい浪森先生は溜息を着きながら煙草を取り出して……仕舞いました。
そして受付から戻って来た蒼さんと雅さんと一言二言交わしてから、
「着いて来い」
とか言って私達を夕の病室へと案内しました。346=魅代で覚えてたのに……。
まぁ、そんな事はさておいてエレベーターに全員乗ってあっと言う間に三階に到着。
慣れた足取りで歩く浪森先生に着いて行きながら346号室へと着きました。
コンコン。
「夕、見舞いに色んな奴が来たぞ」
「……あ、はーい」
そう言って浪森先生は扉を開けて、私達を入るように促す。
遠慮すること無く私達は扉の中へと入り夕に声をかけました。
「大丈夫だった? 夕」
「あ、はい……今日は皆さん来てくれたんですね」
「そうそう。最近来れなくてごめんね……」
申し訳無さそうにする葉月に夕は戸惑いながらも「全然大丈夫です」と言ってすっごいにこやかに笑っていた。
ほれ見ろ、と私は葉月に向かって笑いかけ葉月も笑い返す。いつだって夕は優しいんだと改めて知らされていた。
「夕さん、えっと……花持って来ました。やっぱり何か生きている物が合った方が良いかなーって思ったんで」
「へぇ〜花持って来るなんてナイスだな、蒼」
「おい雅、何か俺がナイスな事を出来ないみたいな目線送るなよ」
私と葉月みたいなやりとりをしている二人に、夕はおかしそうにクスクスと笑っている。
……かっわいー。
とか、何か親父目線になりつつもそんな事を心に思っていると夕が少し顔をうつむかせていた。
「あ、あの……僕の病室、何故か花瓶が無いんです……」
そう言えば、と思い私は夕の病室を見回す。
テレビも無いし、花瓶も無い……。錯乱状態がきてたらしい。
私が一人そんな推測をしていると馨はにっこりと笑いながら首を横に振って夕に花を良く見せた。
「この花、気付きませんか?」
「え……?」
「ドライフラワーなんですよ。水と花瓶がいらないようにちょっと買ってきたんです」
成るほど、よく考えてますなぁ。
私は感心しつつ夕の顔が嬉しそうに綻ぶのを見て、自然と笑顔になった。