ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 忘却の金曜日 参照500突破しました!! ( No.169 )
- 日時: 2011/01/08 09:08
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
「馨さん……」
僕は思わず泣きそうになりました。
わざわざドライフラワーと言う花を買って下さって物凄く嬉しかったんです。
そして茶色の籠に赤色の綺麗なドライフラワーが飾られ、其処だけ温かくなっているみたいに見えました。
「じゃあ今日は色々話しちゃおっか♪」
真白さんがそう言うと皆さんそれぞれ頷いて、椅子に座りながら話が始まります。
真白さん達の学校の話や、僕が学校に行っていた面白い話……。
「そう言えば俺、外人なんだよ」
「えっ!? そ、そうなんですか……?」
突然雅さんが自分の金髪を見せながらそう言って笑いました。
僕は本当に驚いて声が上ずったのでちょっと恥ずかしいです……。
すると蒼さんが雅さんをまじまじと見ながら言いました。
「何人?」
「さぁ〜? 何人だろうね」
「教えてくれよー」
それで雅さんが何人か当てる話が始まって、病室に笑い声が響きました。
さっきまで発狂すると知った事に恐ろしくなった自分とは正反対なくらいに。
そして、そんな自分が何だか馬鹿馬鹿しく思えてきて……僕も一緒に笑っていました。
「エジプト人!」
「いや、俺黒人じゃないから」
「米国人!」
「アメリカって言えよ、しかも何か反応に困る」
真白さんと雅さんが漫才みたいな会話をしていて、また皆さん大爆笑してます。
……何人なんだろう。と言うか国って良く分からないなぁ……。
そんな事をぼんやりと考えながら、話を聞いてました。
——————「おい、この死体を処理しろ」
「え?」
突然声が聞こえて、僕は顔を上げて呟きました。
皆さんはそんな僕に「どうしたの?」と言って下さいます。
けれど、そんな声さえ小さく聞こえるくらいその声がハッキリと聞こえました。
…………この、死体……?
——————「い、嫌です!」「処理しないと殺すぞ?」
「……誰、ですか?」
「夕、どうしたの? 誰か居る?」
真白さんが僕の両肩を押さえてくれたお陰で意識はハッキリとしてました。
だけど、それでも、分かった事があります。
……今、僕の声が聞こえた。嫌ですって拒否した僕の声が。
「……?」
突然脳裏に映像が浮かんできました。
水溜りみたいにある大量の血の真ん中に……女の人。そして女の人の頭を無残に踏んでいる男の人。
そして女の人の足元に………………
………………僕?
そして、僕が男の人から手渡された、包丁で、
「やっ、止め……」
「夕さん? 誰か、浪森先生を呼んでください」
腕と足を切り刻んで、窓から捨てて…………。
「俺が呼んでくる」
「宗弥さん……なるべく早めにお願いします!!」
あれ?
どっと水が溢れるように、僕の何かが頭の中に溢れ出す。
両親が死んで叔父叔母に引き取られて虐待されて真白さんと葉月さんに会ってちょっとだけ心が回復したかと思えば麻薬に走った叔父が僕を殴っていた叔母を殺してゲラゲラ笑って僕に叔母の四肢を切断して捨てろと言われて僕は嫌だったけど切断して窓から捨てると叔父が笑いながら飛び降りて自殺して僕は血溜まりの中に一人居ると真白さんと葉月さんが来て突然眠って目が覚めたら何もかもが恐ろしくなって身体についた血を拭いたくても拭えなくてまた眠って…………………………………。
「夕っ!!!」
真白さんの声がボンヤリ聞こえたかと思えば、僕はベッドから落ちていました。