ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 忘却の金曜日 参照500突破しました!! ( No.176 )
- 日時: 2011/01/08 10:54
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
「アイツが書いたのか……」
涼也はそう呟いて手紙を見た。字は細かく、かなりの長文である事が伺える。
そして涼也は集中してその手紙を読む。
「………」
ポツ、ポツ、ポツ、ポツ……。
手紙に一粒の涙が滴り、また一粒、一粒と染み込んでゆく。
泣いている。涼也は自分が涙を零している事に気付いていた。しかし止められなかった。
否、止まらなかった。
「……」
そして椅子から立ち上がり、手紙を持ちながら早足で病室から出る。
乱暴にドアが開き、驚く真白たちにただ一言告げた。
「……三人、来い」
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「……三人、来い」
突然病室から出て来た浪森先生は一言そう言う。
目には涙が浮かんでいたけれどどうしたのかすら聞けなかった。
ただ、誰が行くか迷ったので皆の方を見る。
やっぱり反応は同じで、迷っていた。
「とりあえず、真白さんと葉月さんが良いと思います」
「私と葉月? ……どうして」
嫌では無いけれど、あっさりと言う馨が気になって少し聞いてみる。
すると馨はちょっと悲しそうに微笑んだ。
「僕より、真白さんと葉月さんの方が口下手では無いし……」
「…………分かった」
そんな事は無い、と言いたかったけれど言わなかった。
馨なりの決断だと何となく分かって口出ししない方が良いかな、と察したので。
すると雅さんが蒼さんの背中をドン、と押した。
「じゃあ蒼、行って来い」
「え!? でも……良いのか?」
雅さんは二カッと笑ってから頷く。
「いっつも夕の事心配してる奴に行かせない訳は無いだろ?」
「おっ、お前…………いや……ありがとう」
深く頷いて言う蒼さんに雅さんは何も言わず頭をポンポンと叩いた。
そしてそれを見た浪森先生はいつの間にか涙を拭っていて、病室の扉を開ける。
「頑張って来いよ」
「……夕を傷つけたら、殺すから……」
雅さんと空斗君の言葉に押され、私と葉月と蒼さんは病室へと入った。