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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 忘却の金曜日 参照500突破しました!! ( No.178 )
- 日時: 2011/01/08 11:19
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
「夕……?」
夕はさっきの熱が何処へ行ったのか、と言うくらい突然に回復した。そして上半身を起こす。
けれど、あの日のように、震えていた。
「……っ、あぁぁぁぁ……」
そして声が漏れてくる。
やっぱり記憶が戻っているんだ。と私は改めて感じた。
と、思えば突然夕が、
私を押してベッドから跳ね起きた。
・・・
あの日のように。
「駄目、だっ……僕は、僕は僕は僕は僕は僕は……ひ、とを……殺したん、だ……!!!!!」
押されて尻餅を着いた私を見ながら夕は頭を抱えて声を震わせる。
あまりの状況に皆押し黙っていた。
「来ないで……僕に、近づかないでっ……! もう止めて!! 人を殺させないでえええええええええええええええええええええっ!!!」
「夕!!」
浪森先生が夕を押さえつける。しかし今日は、違った。
夕がとんでも無い力で浪森先生を突き飛ばした。細い腕から、想像も出来ないくらいに。
浪森先生は吹っ飛び床に転がった。蒼が急いで駆け寄って無事だと私達に告げる。
私は何とか立ち上がったが夕の様子に少し唖然とする。
「っあ、はぁ、はぁっ…………」
叫びすぎたのか、夕は息も絶え絶えになっていた。
私は何故かその様子が何かを押さえ込んでいる風に見えていた。
気付けば夕の元へと走る。
そして驚く夕は気にも留めず、抱きしめた。
「夕」
「離せぇっ! もう嫌だ、嫌だっ……! 人殺しに、近づかないで……っ……」
もがいて暴れる夕を、自分にあるのかと思えるほどの力で抱きしめる。
そしてただ一言、
「もう泣いて良いよ」
と言った。
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