ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 忘却の金曜日 完結しました ( No.183 )
- 日時: 2011/01/08 12:53
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
エピローグ「」
「真白さーん」
記憶を取り戻してから三年後。
僕は十九歳になって、何とか勉強して、大学生になりました。
今は真白さんと葉月さんと三人で同じ大学に通っています。
「お、おっはよー♪」
「おはよう、夕」
記憶を取り戻して、金曜日の周期から抜け出して……それからすぐに病院を退院しました。
その後身内が居ないので独り暮らしをしています。でもいろいろな人が着てくれるのでそこまで寂しくは無いです。
今日は十二月十一日。僕が本当に、心の底から笑えた日です。
「夕レポート終わった? 私提出日まで出さないけど」
「はい、終わりました。真白さんも頑張ってくださいよ?」
「ははは、言うなぁ。コイツ」
真白さんが僕にうりうりとしてきて、三人で笑いました。
記憶を取り戻した日だけれど、本当にいつも通りで逆に僕はそれが嬉しかったです。
「そう言えば夕珍しいよね。今日ちょっと遅かったじゃん」
「あ……ちょっと考え事してて」
「ぷっ……夕らしい夕らしい」
葉月さんがそう聞いたので僕が答えると、真白さんは笑ってきました。
それで二人のボケツッコミを見ながら、僕は足をふと止めました。
ザァ…………。
草木が揺れ、風がざわめき……空は青くて、雲が見えて……。
あの日から僕は沢山の物を目にして、触れる事が出来るようになったんです。
「夕、どしたの?」
「…………真白さん」
「うん。どうしたって聞いてるけど?」
真白さんが笑いながらこちらを見ていました。
僕は真剣な表情で、二拍置いてから、
「付き合ってください」
と言いました。
真白さんは一瞬ポカンとしてから僕をじっと見てます。
……嫌、だったかな……。
僕がちょっと焦ると真白さんは笑顔で、
「喜んで」
と言ってくれました。
それで葉月さんの拍手の音が聞こえて少し恥ずかしくなったけど思い切り微笑んで少し誤魔化しました。
ありがとう、皆さん。
皆さんが居てくれたお陰で、僕は此処まで生きて、笑って過ごす事が出来ています。
数え切れない感謝と計れないほどの想いを込めて……。
本当に、ありがとう。
忘却の金曜日 完全完結