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Re: 忘却の金曜日  ( No.43 )
日時: 2010/12/21 06:47
名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)


「僕が学校に居た時……ですか?」


十二月六日。日曜日。
今日は真白さんと彩佳さんと言う人が来てくれました。
彩佳さんは、僕の幼馴染で掃除も洗濯も全部一人で出来てしまうそうです。
そして、真白さんが来るなり僕に

「夕が学校に居た時の事知りたくない?」

と言ってきてくれました。
僕はあまり意味が分からなくて、思わず首を傾げていました。

僕が学校に居た時があったんだ……。

ふと、そんな事を思ったのも有ります。


「そうそう♪ 彩ちゃんも知ってるよね?」
「一応知ってる。……夕は覚えてないと思うけど」


彩佳さんは少し悲しそうに微笑んでいました。僕はまた自分のせいなのかと焦ったけど止めておきます。

本当に、何一つ覚えていないから。

学校に居たなんて、想像すら出来なかったからです。


「僕、いつまで学校に居たんですか?」
「私と葉月と夕で同じクラスだったんだけどね…………高一の、夏まで」


夏……僕は夏まで学校に居た……? 

全く身に覚えが無いけれどどうやらそうらしいです。
しかも真白さんと葉月さんが同じクラスだったんですね。


「……」
「あれ、何か思い出した?」


真白さんは少し面白そうに微笑んでくれました。だけど、何一つ思い出せません。
僕は罪悪感、と言う気持ちに襲われて嘘を着きたくなったけど嘘を着くのに自信がなかったので

「いいえ……」


と、答えておきました。けれど真白さんは怒りも悲しそうにもしないで「そっかー」と言ってくれました。

良かった……。

ちょっと安心してつられて微笑むと、それに気付いたのか真白さんも微笑んでくれました。


「あ、じゃあ話そっか? 彩ちゃんも聞く?」
「……良いんですか?」
「私は良いけど」


真白さんがそう言うので僕は彩佳さんの方を見ると、彩佳さんも頷いてくれました。
真白さんはそれを見るとまた微笑んで、座っている椅子に足を組ませて話を始めました。