ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 忘却の金曜日 ( No.48 )
- 日時: 2010/12/21 17:03
- 名前: 涼原夏目 ◆YtLsChMNT. (ID: m26sMeyj)
(此処から真白の語りっぽくなります)
あのね、夕と私と葉月は同じクラスだったんだ。
偶然にも私達三人中学校の頃からの同級生だったんだよ。まぁ、夕と特に接点は無かったけど。
ただ、高校になってね、今の君に信じられないかもしれないけど、君はとても無愛想だった。
話しかけてもこっちを向きはしないし、クラスの話の輪なんて一切入らないような奴。
私はそう言う人別に嫌いじゃないけど、当時の葉月すらあんまり関わろうとしなかったんだ。
……はは、信じられないでしょ?
でもね、私何となく気付いてたのかもしれない。君の無愛想が根からじゃ無いって事を。
高1になってからたったの二週間、桜が満開に咲いていた日だったっけ。
「……あれ、魅代どうしたの?」
五時間目が終わって、今日は私の入っている茶道部は休みだったので真っ先に家へと帰っていた。
葉月は部活だったので一人で帰っている時、たまたま門で夕と会ったんだ。
その時はいつも通りのむすっとした無愛想な表情で、でも何故か猫を持ってた。
なんかその光景がおかしくて、思わず話しかけちゃったんだ。
「………………猫が殴られてたから、拾った…………」
夕はそう言って口に着いていた血を拭っていた。猫は確かに砂埃まみれで何処か汚い猫。
その当時、てっきり猫なんて放って帰りそうな奴が自分のみを呈してまで猫を庇ってた。
それが何処かビックリして、君が本当は優しいんじゃないかって思った瞬間。
「うちで手当てしない? 今日、親居ないし」
「……別に良いけど……何で?」
「え? だって怪我してるじゃん。それに何か魅代面白いし♪」
そう言うと夕は訳の分からない、と言う風にキョトンとした顔をして、それでも着いてきてくれた。
何かその反応が凄く初々しくて、怪我の手当てをされた事が無いのかと言う感じ。
また面白くなって、それで二人で話しながら帰っていた。
話してからもっと分かったけど、やっぱり夕は面白かったんだ。